事業報告
 平成25年度

中国・四国・九州地区生涯教育実践研究交流会第32 回大会 
 
 主催 福岡県教育委員会 日本生涯教育学会九州支部
 主管 中国・四国・九州地区生涯教育実践研究交流会 第32回実行委員会、福岡県立社会教育総合センター
 開催場所 福岡県立社会教育総合センター
 期日 平成25年5月18日(土)・19日(日) 〔情報交換会 5月17日(金)〕
 参加者 ●情報交換会:59名 ●1日目:396名、交流会:279名 ●2日目:259名、参加者数合計(延べ):657名

第32回大会 巻頭言

             「少子高齢社会の未来」

 第32回大会も各県の実行委員さんのご尽力によりすばらしい実践を集めていただきました。心から感謝とお礼を申し上げます。
近年は、本大会参加者の帰郷後の活動が花ひらき、継続、新規、再開も含め長崎、佐賀、大分、山口、広島、岡山、島根、鳥取、愛媛県で交流会が開催され、福岡県実行委員会として共催、後援、協賛等の関わりを持たせていただき参加できましたことを大変嬉しく思っています。お世話になりました。

 我が国では高齢者人口の増加と共に医療費も伸びています。中でも後期高齢者の医療費の伸びは著しく、平成22年度の後期高齢者の医療費は12兆7千億円で、一人当たり90万円です。一日当たりに直すと何と348億円の医療費になります。平成20年度が11兆4千億円、21年度が12兆円ですから伸びの速さと額の高さが分かります。
 今年から団塊の世代が高齢者の仲間入りをしました。あっという間に後期高齢者になります。高齢者扶養は国の重要課題ですが高齢者が健康で如何に生きるかも国民一人ひとりの大きな課題です。本大会で語り継がれている「活動するから元気になる」が今日の超高齢社会を救うキーワードになることは間違いないことです。
 一方、少子化の中「過保護・放任」で育ってきた子ども達の体力・耐性の低下、規範意識の低下や基本的生活習慣の未熟さなどは大きな社会問題になっています。その原因と責任を辿ればその親を育てた私達高齢者の子育てまで遡りそうです。
 今回の大会では、特別企画としては大会始まって以来初めて「就学前」の子ども達に視点をあて、幼稚園・保育園での実践を取り上げました。「三つ子の魂百まで」「隗より始めよ」の実践は小学校・中学校へと繋がっているのでしょうか。もう一つは、高齢社会に影響を与える活動を続けられているお二人に「何があなたを動かしているのか」を中心にインタビューをしていきます。
 32回大会は「少子高齢社会の未来」について語り合っていただければ幸いです。

                                               代表世話人   森 本 精 造

発表内容及びプログラム
 ■5月17日(金) 情報交換会 19:00〜

 ■5月18日(土)
  ◇開会式 10:15〜10:45
  主催者あいさつ  福岡県教育庁教育企画部 部長  川添 弘人

 ◇実践発表@ 10:45〜12:30 12事例発表 
  ・幼稚園・家庭・地域をつなぐオヤジの会の挑戦−やりたいことを形にするプロジェクト・チームの力― (鳥取県湯梨浜町)
  湯梨浜町立松崎幼稚園082(オヤジ)の会 オヤジの会発足時PTA会長 田中 一臣

  ・困難な状況にある青少年を対象とした体験学習プログラムの開発-児童相談所・児童養護施設・里親関係者との連携−(山口県) 
国立山口徳地青少年自然の家 企画指導専門職 宮本 慎也
山口中央児童相談所 児童福祉司 弘中 昭子
九州ぼうけん王

大西 清文

  ・鞍手竜徳高校の「子育てサロン」の複合機能−学校と社会教育と地域を結べばこんなことができる− (福岡県宮若市)
   宮若市教育委員会/福岡県立鞍手竜徳高校 地域活動指導員 荒牧 直子

  ・手作り紙芝居から繋ぎ始めた地域活動の輪と和 (佐賀県佐賀市) 
  佐賀市諸富地区民生委員・児童委員協議会 会長 木村 泰代

  ・子ども・大人の居場所を次世代に繋ぐ地域力 (鳥取県米子市)
   崎津地区子どもふれあい活動実行委員会 副会長 木下光子 委員 貫近孝子

  ・「地域の子どもは地域で育てる」−新しい学校運営の創造− (長崎県佐世保市)
  佐世保市立祇園小学校支援会議 副委員長(校長) 三島 智彰

  ・地域ぐるみの「防災教育キャンプ」−企画・運営の論理と方法− (熊本県上天草市)
   ひとづくりくまもとネット・三勢共同体 野島 弘宣

  ・四季折々の渓谷に神楽舞う里−住んでよし、訪ねてよしの 谷づくり− (島根県飯南町)
   谷自治振興会 会長 澤田 定成

  ・地域活性化を食に見いだした団塊世代の村づくり?大山「手づくり豆腐サミット」による住民交流? (鳥取県大山町)
   国信村づくり委員会 とんトン倶楽部 谷尾 良

  ・全地域網羅の「夏休みフリー塾」−つなげよう地域と子ども− (岡山県岡山市)
  NPO法人岡山市子どもセンター・子ども劇場、岡山市立公民館 代表理事 美咲 美佐子

  ・「市村自然塾九州」-宿泊共同体験で培う豊かな心- (佐賀県鳥栖市)
   NPO法人市村自然塾 九州 塾頭 合谷正一郎、事務 黒田隆太郎

  ・日置市「おひさま」運動−「風格ある教育」を目指す実践4項目― (鹿児島県日置市)
  日置市教育委員会社会教育課 参事兼社会教育主事 山田 哲夫

  ◇実践発表@の様子 

 ◇実践発表A 13:30〜16:15 16事例発表
  ・夢街道「岩国往来」の復元を起点とした地域活性化プロジェクト−協働が蘇らせた歴史に埋もれた「岩国往来」− (山口県岩国市)
  岩国往来まちづくり協議会 会長 藤森 勝彦

  ・子どもチャレンジ塾 (広島県東広島市)
   生涯学習ボランティアグループ ふれあい HEARTS 代表者 幾田 奉文

  ・地域資源「白木湧水」を活用したコミュニティ活性化事業の波及効果 (福岡県朝倉市)
  杷木コミュニティ協議会 事務局長 山口素子

  ・「ふるさとづくり」とは何か、どうしたのか、どうなったのか−大田ふるさとづくり協議会の挑戦− (大分県杵築市)
   大田ふるさとづくり協議会 副会長 野上 美喜子

  ・工場見学プログラムによるキャリア教育とリサイクル・エコ教育の実践-(株)
             久保田オートパーツの「企業力」を生かした地域貢献- (宮崎県宮崎市)
   (株)久保田オートパーツ 主任・会社見学案内担当 小川 歩

  ・「連塾」塾生による小学生のためのキャリア教育体験講座−「なりたい自分」を見つけよう− (岡山県岡山市)
   NPO法人連塾 副理事長 角田 みどり

  ・学校支援で育てる教育の協働システムと地域の活力 〜なかつスクスクプロジェクト山国版〜 (大分県中津市)
   中津市教育委員会 社会教育課 生涯学習推進係長 山本 健吾

  ・「美里フットパス」の戦略と効果 (熊本県美里町)
   特定非営利活動法人美里NPOホールディングス 理事長 濱田 孝正

  ・由布市庄内町6小学校集団宿泊指導の教育効果−ここのえチャレンジスクールの論理と方法− (大分県)
   大分県立社会教育総合センター&九重青少年の家 指導主事 山崎 充

  ・地域資源を活かした花と歴史と安らぎの郷づくり−過疎に立ち向かう課題解決型地域づくり組織の協働戦略− (山口県下関市)
   楢原ゆうあい会 事務局長 柴田俊彦

  ・学校と地域がとけあう学びの創造−学社融合10年の歩みを生かして- (愛媛県松山市)
  松山市立堀江小学校  校長 遠藤 敏朗

  ・どうなるこの町、どうするこの街、あなたが主役!−データで検証する大蔵流まちづくりー (福岡県北九州市)
  大蔵まちづくり協議会 顧問 芳賀茂木 

  ・地域の未来は公民館と地域商社がつくる (島根県益田市)
  真砂公民館・(有)真砂社 館長 大庭 完、 社長 岩井 賢朗

  ・不登校クラス・ステップアップスクール当仁 (福岡県福岡市)
   福岡市立当仁中学校・ステップアップスクール当仁 代表 内田 富美子

  ・手づくりふるさと紙芝居 (山口県光市)
   光紙芝居 会長 末岡 美由紀

  ・歌で結び、歌で創る「人生の再生工場」−合唱愛好グループの生き甲斐づくりと地域連帯への貢献− (鹿児島県鹿児島市)
   公民館講座・音楽グループ 音楽有志指導者 海老原 郁子

  ◇実践発表A の様子















 ◇懇親会 17:30〜20:00
↑実行委員挨拶 ↑福岡県教育委員会挨拶 ↑せりで盛り上がりました
 ↑懇親会の様子  

 ■5月18日(土)
特別報告
テーマ●「健康寿命を延ばす」−暮らしの老年学の原理と方法−
     三浦 清一郎(月刊生涯学習通信「風の便り」編集・発行人)
  

特別企画 インタビュー・ダイアローグ
 
1部 〜幼児期の教育プログラムについて〜 「『鍛える』幼稚園・保育園に問う。 −今なぜ幼児鍛錬なのか?−」
 

コーディネーター  大島 まな(九州女子大学 准教授)
 登壇者   浜田 満明(島根県出雲市立 高浜幼稚園 園長)
矢野 やす子(鹿児島県志布志市 伊崎田保育園 園長)

  2部 〜高齢者の社会参画を考える〜 「高齢研究者に問う。2020年の『高齢者爆発』をどう回避すべきか?」

   コーディネーター  森本 精造(NPO法人幼老共生まちづくり支援協会 理事長)
 登壇者  三浦 清一郎(月刊生涯学習通信「風の便り」編集・発行人)
瀬沼 克彰(桜美林大学 名誉教授)
   
参加者の声 (抜粋)
 ◇実践発表について
・どの事例もキーとなる「もの・こと」など、とっかかりに街づくりに寄与している事例で、大変参考になった。
・子どもの居場所で活躍すること、サポートすることができる大人の居場所にもなる。そのコーディネーターをされている方の元気で話をされているのが印象深かった。
・志のある人がつながり、実践されている姿に感動し、参考になりました。
・社会教育で、子どもたちの学びの場をつくる意義を教えていただいた。
・「身近な場所で誰でも参加できる事業が大事」という言葉がとても印象に残っています。 
 ・どの発表のも地域とのつながり、というところまで、広がりをみせておられて、素晴らしいと思った。

◇特別報告について
・とても分かりやすく、ずっとうなずきっぱなしでした。 
・実にシンプルで分かりやすい。定年以降、活動しないと廃用症候群になるとは、名言です。
・「元気だから、活動しているのではなく、活動しているから元気が出る」が印象深かった。定年してボランティアをして活動している方が、とても印象的。特に定年前の男性に聞いてほしい。

◇インタビューダイアローグについて
・インタビュー形式という事で、先生方の熱い思いが聞けてよかった。テーマも多岐にわたり興味があった。 
・発達段階を大切に子どもを鍛えること、負荷をかけることは大切だということを、改めて感じた。
・「鍛える」側面を持つ、保育園・幼稚園は興味深いが、「心」の成長を前面に立たせた教育として考えたい。
・子ども今のできる力を最大限に伸ばすことに注目していこうと学びました。体験が全て身になって、言葉にして表現することが、再確認できた。
・子どもは何でもできるんだなと思った。子どもの生きる力は、親の理解が大切だと感じた。