事業報告
 平成27年度
担当者等研修会 
「社会教育・生涯学習行政関係職員等断続研修C」
 
 期 日  平成28年2月22日(月)10:00〜16:00
 参加者   19名
 事業内容
 人口減少問題への対応や地域の活性化に向けて、国が地方創生の取組を進める中、地域において中核となり、市町村における社会教育・生涯学習を推進していくことのできる職員を対象に、有益な情報の発信、演習等、年間を通じて断続的に研修行うことで、まちづくり・人づくりに結びつく教育事業の立ち上げや関連事業の活性化を図る。
 内容の実際
【【研修報告】「本年度の成果と課題」
報告:研修受講生3グループより
 「人材育成と組織の連携促進」グループ 
 最初のグループは全体のテーマを「人材育成と組織の連携促進」と設定し、一年間の取組を3人でご発表されました。
 篠栗町の取組では、人材育成と組織の連携促進のため、校区の自治組織や各種協議会等の組織から校区研修会の実行委員会を結成し、地域課題の共有や連携づくりを行ったという実践報告がありました。
 大牟田市は、人材育成に関する2本の事業・講座の紹介と市職員の地域デビューを促す職員研修の紹介。組織の連携促進に向けた地域コミュニティ推進課の設置等について紹介がありました。
 岡垣町からは、成人式実行委員会やジュニアリーダーによる人材育成の事例、長野県上田市真田町との連携事業の報告がなされました。そうした報告を受けて下のようなグループのまとめを報告いただきました。

「人材育成と組織の連携促進」グループ・資料@ 「人材育成と組織の連携促進」グループ・資料A

 「みんなで創る家庭教育学級〜小郡市家庭教育学級を題材に〜」グループ
「みんなで創る家庭教育学級」グループ・資料 

2番手で発表したグループは、標題にもあるように、実際の受講生が担当する事業について、自分の担当事業の課題等を踏まえながら、事業づくりの大切な視点について議論を深めてきました。このグループについては実際に小郡市の取組について現地研修を行ってまいりました。報告では、現状把握とその中に見える課題の抽出に取り組み、課題解決に向けてニーズ、シーズをコーディネートすることが大切であり、そこを踏まえてスキームを作成していくことが事業の効果を高めることにつながるという内容を発信されました。
 「実態把握と前向きにさせる仕掛け方とは」グループ
 「実態把握と前向きにさせる仕掛け方とは」グループ社会教育は基本が自由参加のため、ニーズにマッチングしてなければ参加は必然的に少なくなってくる。そこでこのグループは大胆に、社会教育をビジネス思考で考えることによって、お願いする事業から自信を持って売り込める事業開発を行うことができるのではないかと仮説を立てて協議してきました。企業であればマーケティング調査やそこから発想する商品開発、シビアな費用対効果の考察等を行っている。社会教育行政にも、そうした発想や思考をもつことが大切ではないか。そして、そうした方向性をぶれないものとするための企業理念や担当者の展開力についても大切にしていくことが必要。つまり、こうした発想を社会教育の事業展開に向けてあてはめていけば、今行っている取組や事業展開がさらに高まったものになるのではないかと大変興味深い発信がなされました。

【講義】「いま、生涯学習・社会教育行政に求められること」
講師:宇美町立図書館 館長 黒田 修三 氏 
 講師:宇美町立図書館長 黒田 修三氏今回はこの断続研修4回の締めくくりとして、福岡県で長きにわたり社会教育行政に携わってこられ、現在も御活躍中の黒田修三氏に「いま、生涯学習・社会教育行政に求められること」と題して御講義いただきました。
 講義内容は大きく3点、@教育の事業を進める主体として、A社会の急激な変化に対応して、Bまさに求められる中期的な社会教育事業計画、といった視点からの講義でした。@の内容で特に印象に残ったのは、社会教育事業に常に流れる2つのプログラムについてです。社会教育の性質から考えて、社会教育事業はすべてモデル事業といえるということ、そこで、もう一つの隠れたプログラム、「学習の拡大」「学習の循環」「指導者、支援者の育成」を意識しなければならないといわれたことです。
 Aの内容では地域づくりにスポットが当たる構成となりました。「地域づくりをどう位置付けるかといったことに関していえば、社会教育には公民館があるため、必然的に地域づくりに関わる取組を行わなければならない。そして今、持続可能な地域社会をつくるために地方版人口ビジョンと総合戦略の作成が求められているが、その基礎体力となるものが、地域資源と呼ばれる社会資本や関係性の中にある社会関係資本(ソーシャルキャピタル)といったものである。そして、そこに関わるわたしたち社会教育・生涯学習関係職員のスキルアップが必然課題」といわれました。
 そして、最後の件には「地域から社会教育を興すことが必要だ。自発に任せていたのでは自然発生的に生まれることはない。だからこそビジョンを持って、意図的に社会教育行政の根幹をなす事業をしっかりと育んでいくことが大切である」と力強く御示唆いただきました。

 
 【修了証授与】

 修了書授与全4回の参加者には修了証書を、その他の受講生には受講証書を、当センター
中薗宏所長より一人ひとりに手渡されました。

 
 参加者の声
 【研修報告について】
今回4回の断続研修で他市との意見交換など一つのテーマに取り組むことができてとても参考になりましたし、勉強になりました。
近年の社会教育の動向、他自治体の取組の発想など学ばせていただいた。
同じテーマでグループ研究をし、他の自治体の取組を知ったことが大変参考になった。他グループの発表により幅広い取り組みを学べた。「ビジネス思考で考える・・・」の発想が若い人らしく興味深い。
各地の実践事例に基づいたもので参考になりました。
何年たっても、何回でも、他自治体等の事例を聞くのは良い刺激になります。
【講義について】
とてもわかり易い内容でした。社会教育の役割など疑問に感じていたことが少し理解できました。
先生の経験を織り交ぜながらのお話はすごく私にとって新たな発見であり、とても勉強になりました。社会教育のあり方など、改めて再認識させられる時間だったと思います。
主事講習で聞いた内容も多かったがドイツと日本の比較は面白かった。
公民館の在り方、再認識しました。
主体的な生き方が求められる中、青少年育成、高齢者支援等々、いろいろな課題が生活レベルで迫ってくる。住民に迷惑をかけない行政やしくみの横断的連携が課題だと思う。
さまざまな学習の機会に“双方向”“社会人の学び方”を充実していくのが私の課題である。
【研修会全体について】
参加したことで様々な気づきや今後の課題などが把握できた。
最後に発表するということで、研修内容が身についたより高い次元で検討できた気がします。スキルアップになりました。