事業報告
 平成29年度

中国・四国・九州地区生涯教育実践研究交流会第36回大会 
 
 主催
  福岡県教育委員会 日本生涯教育学会九州支部
 
 主管
  中国・四国・九州地区生涯教育実践研究交流会第36回大会実行委員会 
  福岡県立社会教育総合センター 
 
 期日
  平成29年5月20日(土)・21日(日)〔情報交換会5月19日(金)〕
 
 参加者
   情報交換会:65名、宿泊者:76名
   1日目:415名、 交流会:294名、 宿泊者:199名
   2日目:247名            参加者数合計(延べ) 662名

第36回実践交流会代表挨拶
 
      テーマ: 地域創生は「学校を核にした」まち全体の「協働」から 

 今、我が国は「一億総活躍社会と地方創生」の実現を目指して大きく舵を切りました。文部科学省では、「次世代の学校・地域」創生プランに基づき、地域の人々が学校と連携・協働して、子どもの成長を支え、地域を創生する「学校を核とした地域づくり」を目指しています。そこでは、「コミュニティ・スクール」「地域学校協働本部」「地域学校協働活動」の推進等が実践されています。さらに注目は、小中学校の教育課程の基準となる「学習指導要領」が、約10年ぶりに改訂されました。(3月31日次期学習指導要領公示)。その前文に「よりよい学校教育を通してよりよい社会を創る」とする理念が掲げられ、子どもが身につけるべき資質・能力は社会と共有する必要があるとして「社会に開かれた教育課程」という視点が導入された事です。
 そこで大事なのは、「社会教育はどう対応するか」が問われます。社会教育は、「学校教育との連携の確保に努めること」「家庭教育の向上に資することとなるよう必要な配慮をすること」「学校、家庭及び地域住民その他の関係者相互間の連携及び協力の促進に資することとなるよう努めること」(社会教育法第3条)とされています。すなわち今や、学校を核にした「協働」の地域づくりには、社会教育・生涯教育関係者への「繋ぐ人」・「コーディネーター」としての役割が期待されています。
 第36回を迎えた「中国・四国・九州地区生涯教育実践研究交流会」も、各県の実行委員会の皆様の「手弁当方式」の熱き思いとご協力で、28の実践事例が揃いました。この会の凄さは、事業の直接担当者が実践の「PDCA」発表に有ります。また、三浦清一郎先生の「特別報告:不登校・ひきこもりの根本問題」は、今、求められる日本の若者育成への提言です。さらに、全国展開している「ヨコミネ式保育」の横峯吉文氏と「尾道100キロ」の柿本和彦氏が登壇の特別企画(講演、インタビュー・ダイアローグ)では、両創設者の生の声を聞く事が出来ます。ご期待ください。 本会をご支援・ご指導くださいます福岡県教育委員会、福岡県立社会教育総合センターに心より厚く感謝申し上げます。

                                 中国・四国・九州地区生涯教育実践研究交流会 代表世話人 古市 勝也

   
発表内容及びプログラム
 ■5月19日(金)情報交換会 19:00~
古市代表 挨拶  乾杯
 ■5月20日(土)
  ◇開会式 10:15~10:45
  主催者あいさつ   福岡県教育庁 理事 松尾 圭子   


 ◇実践発表① 10:45~12:30 12事例発表 
本のある子育て・読書に親しむ地域づくりのお手伝い(熊本県和水町)
  和水お話の会  代表 廣田須美子

市民の 市民による 市民のためのイベントづくり~あなたの心に火を灯したい~(鹿児島県鹿児島市)
  「サンエールさわやかウエーブまつり」実行委員会   実行委員長  原田 祐一

地域と学校が協働して存続させる無形文化財:子ども人形浄瑠璃(山口県周南市)
  周南市安田の糸あやつり人形芝居保存会  会員  原田 浩

防府しあわせマルシェ~笑顔を育て、つながりを創る市民参加型まちづくり~(山口県防府市)
  天神商店街振興組合防府しあわせマルシェ実行委員会  代表  柴田 優爾

産官学の共創が生む力~企業による食育の取組みを地域の未来づくりにつなげる~(宮崎県日向市)
  「南日本ハム」株式会社  総務人事部長付マネージャー(食育・広報担当)難波 裕扶子

人々を繋ぎ、対話を創りだす「公民館カレーの日」(佐賀県佐賀市)
  佐賀市立循誘公民館  主事 松村 早紀子

自立・貢献・活性化を目指す白山青年団(長崎県島原市)
  島原市白山青年団  団長 古瀬 彬

停滞・制度疲労を活動スタイルの変革で乗り切った有明佐賀航空少年団 17の軌跡(佐賀県佐賀市)
有明佐賀航空少年団  団長  横尾 寛二

地域を耕し、人を繋ぎ、未来を拓く青年団(熊本県球磨村)
  球磨村立球磨中学校  養護教諭  田山 伊穂里

村民みんなで創る「とうほうテレビ」(福岡県東峰村)
  とうほうテレビ  住民ディレクター  梶原 京子

大山ガガガ学校~アートの力で蘇る旧分校と地域の力~ (鳥取県大山町)
  こっちの大山研究所  代表 大下 志穂

歴史を学び、景観を守り、まちづくりにつなげる(鹿児島県鹿屋市)
  鹿屋市教育委員会 高須地区生涯学習センター  館長  田中 聡

 ◇実践発表② 13:30~16:15 16事例発表
小学校の空き教室を活用した「地域交流スペース」から広がるスクール・コミュニティ(島根県益田市)
  益田市立豊川小学校  社会教育コーディネーター 市川 恵

ゆめ・ひと・まちづくり「浦添市てだこ市民大学」~単位制のまちづくり人材育成と学習成果の地域還元~(沖縄県浦添市)
  浦添市教育委員会生涯学習振興課  課長  石坂 ひとみ

「先生、菰プレするんですか?」
  ~教育プログラムを取り入れた児童クラブ(学童保育)の子育て支援の可能性~(福岡県飯塚市)
  飯塚市穂波東児童クラブ  副主任  大村 恵子

「校長」から「避難所所長」へ~地震被災者支援に社会教育手法で対応する広安西小避難所~(熊本県益城町)
  益城町立広安西小学校  校長  井手 文雄

放課後等の学び場に寄与するバンクの企画と運営(高知県)
  NPO法人高知県生涯学習支援センター学び場人材バンク  コーディネーター  濱﨑 博志

公民館を拠点とした「健康寿命延伸」プロジェクト(愛媛県新居浜市)
  泉川公民館  館長   原田 脩三 

赤碕「男の料理教室」の10年~腕を磨き、認知症を防止し、家事の一役を担い、人々を繋いだ~(鳥取県琴浦町)
  赤碕「男の料理教室」  会 長  西村 仁優、副会長  永田 瑞穂

障がい者の就労と地域の活性化を目指し、住民とともに自助・共助の地域づくりを進める「秀渓園」の取組みについて
  (大分県国東市)
  社会福祉法人 秀渓会  理事長  古城 芙美枝

子縁を核とした地域総ぐるみの活性化事業(鳥取県鳥取市)
  鳥取市立東郷地区公民館  館長  懸樋 勉

人を繋ぎ、地域と共に歩む保育所の理念と実践(広島県府中市)
  社会福祉法人 光彩会 和光園保育所  所長  岡本 由姫美

子育て支援・学校支援・環境保全を中核とした婦人会活動(長崎県佐々町)
  佐々町地域婦人会  婦人会長 菅 富美子

「えほん侍」が見せる父の背中~絵本で繋がる家族と地域~(宮崎県日南市)
  宮崎「えほん侍」  リーダー 池田 大助

村育(むらいく)~地方創生総合戦略の核心~(徳島県佐那河内村)
  村育推進協議会  会長  日下 輝彦

地域おこしは人おこし~地域おこし協力隊がもたらす地域変容~(岡山県美作市)
  NPO法人 山村エンタープライズ  代表理事 藤井 裕也

未来へ繋ぐまちづくり~元気・やさしさ・幸せの創造~(島根県出雲市)
  鳶巣コミュニティセンター  チーフマネージャー 山﨑 順子、マネージャー  山﨑 明子

想いを繋いで35年 ~子どもと青年が共に育つ場を繋いできた「ウハウハ長尾」の軌跡と想い~(福岡県福岡市)
  非営利団体 ウハウハ長尾  代表  角田 愛美

 ◇実践発表の様子  10:45~16:15

 ◇特別報告 16:30~17:00

「不登校・ひきこもりの根本問題
         ‐分析と対処法が間違っていないか?‐」   
報告者  三浦 清一郎 氏       

 ◇大会交流会 17:30~20:00
 
特別企画 
 
 第1部 9:00~10:10
 横峯 吉文 氏
登壇者 社会福祉法人純真福祉会 理事長  横峯 吉文
聞き手 生涯学習通信「風の便り」編集長  三浦 清一郎 
九州女子大学教授  大島 まな 

第2部 10:20~11:30
  柿本 和彦 氏
登壇者 NPOおのみち寺子屋 理事長  柿本 和彦
聞き手 交流会代表世話人 九州共立大学名誉教授 古市 勝也 
青少年教育施設サンレッジ茜 理事長 森本 精造 

総括 閉会式 11:30~

参加者の声 (抜粋)
 ☆ 実践発表について
食育であったり、食品を通した学びの伝え方を知ることができた。
子縁を核とした地域送ぐるみの活性化事業です。自分の地域の課題と重ねて聞くことができました。
どの発表も、発表者の地域に対するあつい想いが伝わってきました。たくさんの発表を聞くことができて、毎回ありがたかったです。
産学官の共創により生まれる力、企業と行政がつながっていくことのパワーを感じました。

☆ 特別報告「不登校・ひきこもりの根本問題-分析と対処法が間違っていないか?-」について
不登校、ひきこもり問題をその場しのぎの対応ではなく、根本的な部分を考えていく必要を感じました。
子ども中心の子育てについて考えさせられた。忍耐力を付けさせる子どもの育て方が、いかに重要かを感じた。
耐える力を意識したプログラムづくりをしていきたい。 
寄り添うことだけじゃない、適切な対応について考えさせられました。
不登校ひきこもりの対処がまったくといっていいほどできていないのだと感じました。
 
☆ 特別企画第1部「ヨコミネ式保育の理念と方式、子どもの可能性を引き出す」について
成功体験を「ほめる」でなく、「認める」という言葉が印象に残りました。
「教育の目的は自立」シンプルで力強い理論が印象的でした。
幼少期の教育の大切さを感じました。子どもの能力を伸ばすようなしかけが参考になりました。
子どもの自立のためには、時には、突き放すことなどいろいろとためになるお話をありがとうございました。
環境、教材等の準備をしっかり行って、子どもが自立して学べば、保育士の負担が減るというところがよくわかった。

☆ 特別企画第2部「なぜ『尾道100キロ』か」について
100キロ体験した子どもが、成長するにつれ、今度は自ら積極的にサポートしたいとおもうようになる‟自立心”を芽生えさせる取組は素晴らしいと思った。
「意識が知恵になっていない」印象に残った。 
学生にバトンを渡しながら、10年以上も続いているのはすごいと思った。継続は力なり。
  口コミで参加者が増えているのが、有意義な実践であることを物語っている。
最初は乗り気でない子どもも、時間が経過するにつれ、精神的に成長していく様子が目に見えて分かるということが印象的だった。
  子ども自身が自ら学んでいくためには、大変なことを乗り越えさせる大切さを感じた。
 
できない理由ではなく、できる理由を探す。
 
☆ その他の声
多くのすばらしい実践に学ぶことが多く、「来てよかった!」
生涯学習・社会教育の大変さ、大切さを改めて感じた。今年からスタートした新しい仕事を頑張っていきたい。
本当に様々な立場の人が自由に意見を言い、実践を出し合えるところがすばらしい。                             
  自身の夢や、やりたいことを見つけることができた。
毎回、自分の学生時代を振り返り、スタッフとして参加されている学生の方々に頭が下がります。感謝です。