事業報告
 平成29年度
社会教育専門研修
「社会教育・生涯学習関係者リーダーのための専門講座」
 
 期 日  平成29年7月19日(水) 9:00〜16:30
 参加者   37名
 事業趣旨
 地方創生の礎となる全員参加型社会の構築が求められる中、県下の社会教育・生涯学習の一層の振興を図るため、市町村で事業遂行の中心的役割を担う職員を対象に、その資質・能力の向上に資する研修を実施する。
 内容の実際
【研修1】(講演)
     「一億総活躍社会の実現に向けた社会教育・生涯学習の取組」
         講師 文教大学学園 理事長 野島 正也 氏

 研修1では、文教大学学園 理事長である野島正也先生に「一億総活躍社会の実現に向けた社会教育・生涯学習の取組」という演題で御講演いただきました。
  まず、「いま、日々の暮らしに何が…」というテーマで、課題についてふれられました。
「ぼっち族」といった、何でも一人で行い、それが苦にならない人(特に若い人)が増えていることや、3つの間(時間・空間・仲間)がそろわず、時間はあっても仲間がいない「しょんぼり高齢期」を過ごす方が増えてきていることを課題として挙げられました。これらの生活課題や地域課題を取り込んだ学習活動を展開し、「弱いつながり」(Weak Ties)(※)へ取り組むことが、地域の縁の広がりをうむことを話されました。
  ※「弱いつながり」(Weak Ties)
→家族や親友、同じ職場の仲間のような強いネットワーク(強い紐帯)よりも、ちょっとした知り合いや知人の知人のような弱いネットワーク(弱い紐帯)が重要であるという社会ネットワーク理論のこと。

  次に、社会教育の方向性についてお話しいただきました。演題にあります「一億総活躍社会」とは、「できるところ」で参加(参画)する「態度価値」(ヴィクトール・フランクル)が重視され、だれもが活躍でき、生きがいを感じられる社会のことであると説明されました。その後、生涯学習社会の実現に向けた国の動きとして、中央教育審議会「新しい時代の教育や地方創生に向けた学校と地域の連携・協働の在り方について」(平27.12)の答申などの情報提供をしていただきました。
  また、社会教育の視点から見た地域連携・協働として、「好縁社会」といった新しい「地域縁」について説明されました。好縁社会とは、好み・関心でつながる地域・社会のことであり、その条件として、@新しいこと(情報・体験)に出会う機会があること 
 A人と交わる機会があること(情報交換と感情交換) B人が認められる機会があること(信頼と自信)を挙げられました。
  とても大きなテーマの中でしたが、事例等を挙げながら分かりやすく御講演いただき、1時間30分があっという間に過ぎていきました。

【研修2】(講義)
     「社会教育の現状と事業の推進に向けて」
        講師 福岡県教育庁教育企画部社会教育課  主幹社会教育主事  大谷 俊浩 氏


 研修2では、「社会教育の現状と事業の推進に向けて」というテーマで、福岡県教育庁教育企画部社会教育課 大谷 俊浩 主幹社会教育主事が講義いたしました。
  まず、福岡県が行った「平成28年度社会教育振興に関する調査」から見た社会教育の現状について説明しました。社会教育関係職員や社会教育主事の数が年々減っていること、その中で、各市町村が課題としていることが、人員体制・予算確保・社会教育団体の活性化であることを説明しました。
  次に、福岡県教育大綱(ふくおか未来人財育成ビジョン)をもとにした、福岡県の社会教育に関する計画を示していきました。本年度の主な取組として、「地域学校協働活動事業」について大野城市と飯塚市の実践事例を、「家庭教育支援チーム設置事業」について県内18チーム40市町村で活動予定であること、「こどもの読書活動充実事業」について水巻町や大川市の実践事例、「通学合宿推進事業」についてはIKR調査結果をもとに、参加者の方々が参考になる情報提供をしていきました。
  
 【研修3】(協議)
      「市町村において、社会教育・生涯学習行政をどう進めていくか」
          進行 福岡県立社会教育総合センター 研修・情報室 社会教育主事

 学びを締めくくる協議では、参加者の方が本日の学びや、これまで日々の業務を進めていく中で感じていたことなどを自由に話し合える場にするために、「情報交換」「ネットワークの構築」を目的としました。最初に、同じグループのメンバーと名刺交換をしていただき、アイスブレイクを行いました。その後、協議のルールを確認し、テーマに関わる情報提供をしました。
 参加者の皆さん、各所属で抱える課題を出し合いながら、そして、自身が取り組んできたことを出し合いながら情報交換をされていました。研修日程の都合上、少し時間がたりなかったことは否めませんが、皆さんにとても好印象で協議に参加いただけたようです。
 

 参加者の声
【研修1】(講演) 
  「一億総活躍社会の実現に向けた社会教育・生涯学習の取組」
○退職後の方々の地域参加、とても分かりやすいお話でした。人とのつながり、地域の中で「ひとりぼっち」ゼロ社会、よい言葉と思います。
○好縁社会「人と会って楽しい」地域社会を築く。うまくいっている時はすばらしいが、一度こじれると難しいことが山積みする・・・非常に重い課題だ。
○いろいろな立場での課題・問題となっていることがわかった。
○地域でのコミュニティづくりの必要性について、あらためてその意義と役割について考えさせられました。
○地域の人にとっての問題とは?地域の皆さんに声をかけできるところで役割を果たす。みんなで力を合わせ、つながりを大事にして相互の力を出していく。まずやる事。 
○一億総活躍社会→全員参加(画)型社会 コミュニティ→関心のある人たちの集まり

【研修2】(講義) 
  「社会教育の現状と事業の推進に向けて」
○県の取組や社会教育の現状がよくわかった。
○県が推進してある方向性がとてもよくわかりました。
○福岡市と他市町村内容が違う中で、どこも人材不足であったり、予算の確保であったりと考えさせられました。
○県の統計がとても参考になる。課題共通
○身近に感じ、項目等からも参考になった。

【研修3】(協議)
  「市町村において、社会教育・生涯学習行政をどう進めていくか」
○情報交換が大変良かったです。
○他市町、施設の課題や共通の課題に対する解決策を様々な視点から聞くことができた。
○他市町の取組状況、課題の意見交流は有意義である。
○他市町かかえる課題は「人材」でした。どのようにして解決を進めることができるかが今後の課題です。
○行政の方たちの持ってある悩みやジレンマなどを聞くことができ新鮮でした。人の育成というのは、どんな場でも同様の課題だと感じました。
○少人数でのグループ協議で話をいっぱいすることができてよかった。
○社会教育主事が少ない。福岡市の生涯学習課、地域支援課の在り方、もっと専門職の人材育成を希望します。
○他市町村のかかえている課題が、私の町と同じで、課題解決のための案をたくさんいただけて良かった。
○解決策までいかなかったが、同じ問題を共有することができたのはよかった。

 会全体を通じて
 ○毎日忙しい中、研修の参加については悩んだが、来てよかったです。
○社会教育の現況やこれからの示標などを知ることができ、有意義な時間でした。
○他市町村の方と情報交換できた。