事業報告
 平成29年度
社会教育専門研修
「家庭教育支援者等基礎研修会」
 期 日  平成29年8月2日(水) 9:50 〜 15:50
 参加者   78名
 事業趣旨
 家庭の教育力低下が指摘され、子育てに悩みをもつ保護者が増加している中、社会全体で家庭教育の支援を行うことが求められており、地域における家庭教育支援の核となる家庭教育支援者等の育成が急務となっている。そこで、説明や事例発表、講話を通して家庭教育の現状をつかみ、その重要性を再認識するとともに、家庭教育支援者としての意欲の向上と今後の取組の充実を図る。

 内容の実際
【説 明】「今、求められている家庭教育支援」
説明者  研修・情報室 社会教育主事
 本研修会は、家庭教育を支援する方に、広く広報活動を行ったところ、民生委員児童委員、自立支援員等、幅広い関係機関の方々のご参加が多かったため、1「家庭教育とは」 2「家庭教育の支援施策」 3「親の学びや育ちを応援する実際」と、大きく3点についての基礎的な内容を説明いたしました。法令から家庭教育支援・子育て支援についての整理や、国や県の施策や役割、家庭教育支援に求められる取組等を説明いたしました。

【講 話】「子ども・家庭を支えるネットワークづくり」〜支援者支援の視点・支援は始縁〜
    講師: 社会福祉法人 甘木山学園              
                子ども家庭支援センターあまぎやま センター長
  児童養護施設 甘木山学園 支援部長     
坂口 明夫 氏 
 講話では、坂口明夫さんから「子ども・家庭を支えるネットワークづくり」をテーマにお話をいただきました。
 昨年の熊本地震の支援のご経験から、PTA活動での学びと支え合いや「近助」の必要性と大切さについて説明がありました。キーワードとして談員(相談員)として、「支援は像力」「相手をう心」が大切であり、相手の視点から必要な支援を行う必要性についてお話しいただきました。
 また、支援が必要な家庭とつながりあう手だてとして、“見通しが持てる関わり”をすること、“現状を踏まえた「強み」を生かす視点と工夫”が大事であること、そして、“支援者同士のつながり合い(愛)、支え合い(愛)”が必要であると言われていました。
 参加者の方から、「坂口さんの多面的・多様な実践を踏まえてのお話はとても有意義であった」との声が多数、挙げられておりました。

【実践発表】「大木町家庭教育支援の取組」 〜平成20年からの継続支援〜 
 発表者:大木町 家庭教育支援員 廣石 福子 氏 
 午後からの実践発表では、大木町家庭教育支援員の廣石福子さんに、大木町家庭教育支援チーム、通称「和(なごみ)」についてお話をいただきました。
 大木町家庭教育支援チームは町内の3つの小学校校区に2名ずつ配置され、計6名で構成されており、各小学校を拠点として小学校内やその地域で活動しているそうです。
 具体的には、保護者がつなぐ「オープンカフェ」を小学校内に開き、気軽にお茶を飲みながら子育て等に関する会話ができる場を設置したり、見守り隊として朝の登校指導を行ったり、「おせっかいおばちゃん」として、気になる児童に対して学校生活への意欲が高まるような支援活動に取り組んでいました。
 また、学校と連携することはもちろん、子ども未来課・福祉課等の町行政とも連携し、支援を必要とする家庭へ支援を届けている様子がうかがえました。
 3つの小学校のうち2つの小学校では不登校児童が0名だと言われていました。これは、約10年間の継続的な支援により、家庭教育支援の環境が整ってきた大きな成果であると感じました。参加者の方が大きく頷く姿を見ることができました。

【協 議】「支援が届く家庭教育支援の取組について」 
 進行:研修・情報室 社会教育主事 
 まず、同職業、近い職業の方で4人1グループになり、「支援が届きにくい家庭に支援を届けるにはどうしたらよいか」について協議しました。同じ悩みや課題について共感する姿が見られ、その中でも、「私の町ではこんな取組を行っているよ」等、地域の特色を生かした取組を紹介する方もいらっしゃいました。
 次に、他業種の方とグループになり、同じく、「支援が届きにくい家庭に支援を届けるにはどうしたらよいか」について協議しました。同じ家庭教育支援を目的とする方々ですが、市町村社会教育課・生涯学習課、子育て支援課、民生委員・児童委員、家庭児童相談員、スクールソーシャルワーカー等、違う立場の方々と意見交換をすることで、自分にはなかった視点や考え方を学ぶ場になったようでした。
 最後に、協議開始時のグループに戻り、それぞれのグループで学んだことの情報交換を行ってもらいました。そして、今日の学びを明日からの業務に生かすために「明日からやっていこうと思ったこと」をカードに記入しグループ内で決意表明を行ってもらいました。参加者の方々は充実した時間を過ごすことができたようでした。 

 参加者の声
【講 話】「子ども・家庭を支えるネットワークづくり」〜支援者支援の視点・支援は始縁〜
○ 支援を行う中で、過干渉・過保護の保護者も多く“しんどい経験”を避けて育った子どもも少なくないということを改めて感じました。
○ “お互いに得るものがないと活動は続けていくことが出来ない”本当にそうだなと思います。
○ 精力的に様々な取り組みをなさってある事にただただ尊敬の気持ちでいっぱいです。
○ 私も想談員になりたいと思いました。相手を想えるような関わりをしたいです。PTGを考えさせられました。○○ならないようにというのも大事ですが、本人・家庭の力も信じることも必要ですね。
○ 自分の価値観だけで話をすすめてはいけないということを今後念頭に置いて仕事をしていこうと思いました。
○ 「積極的な保護者をファシリテーターへ」という言葉が心に残りました。
○ 坂口さんの感覚、経験の全てがとても勉強になりました。今、行政の立場で家庭教育支援の学習機会を提供していますが、考え方を改めていきたいと本気で思いました。 
 
【実践発表】「大木町家庭教育支援の取組」 〜平成20年からの継続支援〜
○ 今後 家庭教育支援の必要性を会議等で訴えていき、活動できるように力を尽くしたい。
○ 大木町の取組、すごいです。私のまちでも家庭教育支援チームが出来て活動できるともっと良くなると思いました。
○ 地域での支え合いの充実、学校との連携がかなり取れており、スムーズな支援が行われていることに感動しました。
○ おせっかいおばちゃんという立場で支援しておられるとの事、すばらしいと思いました。
○ “家庭教育支援員”という存在があるということを初めて知りました。位置付けが難しいようにも感じましたが、より学校・家庭に入れる存在として貴重だなと思いました。
○ 授業参観や教育相談日に「オープンカフェ」はとても良いアイディアと思いました。
○ 理想的な型だと思います。支援員の方が支援を押し付けず、じっくり関わる姿勢がすばらしいと思いました。
○ 熱心で誠実な取り組みに感服しました。不登校児が0とは驚きです。 
○ 事例をあげて頂いたのがとても参考になります。支援員の方が個人と学校をつないであるのは素晴らしいことだと思いました。
○ まさに「継続は力なり!」の実践例を通した学びができました。
【協 議】「支援が届く家庭教育支援の取組について」
○ グループワークで他市町村のいろいろな情報が聞けてよかったです。
○ 実際の事例、取組を教えて頂き自分の市ではどのような支援者がいるのか改めて把握しておこうと思いました。
○ 他の機関の人と交流する機会をつくってもらい大変勉強になりました。
○ 市町村によって行政内のつながり、壁がある・ないの差が激しく、支援に繋がらない。重要問題がありまずそこを改善することからスタートだと感じた。
○ 協議を通して講話と事例発表で学んだことを整理できました。
○ 意見が様々ありその方の背景も見えるグループワークでした。
○ いろんな職種の方々の意見を聞いて民生委員さんとの連携が重要と感じた。
○ 意見交換する中での「気付き」の大切さを感じました。
○ グループ協議をすることで、自分の考えが明確になった。
○ チームの中で楽しく話ができたことが一番の収穫です。他部局と連携していきながら自分たちのやっていることを自信をもってできそうです。
○ いろいろな方と交流することで、あらゆる角度からの意見を聞くことができて良かったです。 
○ 様々な立場の方の話をうかがえて参考になった。1つのワークの時間が長めだったことがありがたかった。