(平成23年度)
  6. 英彦山環境ボランティア研修T  研修U 研修V
 
○ 期 日  平成23年6月26日(日)
○ 参加者  16名
○ 事業内容
 本事業は,自然豊かな英彦山を舞台に,森林伐採保体験や学習等をとおして, 自然に親しみ,意欲的に森林保全活動に取り組もうとする態度を養うとともに,環境保全の知識・理解を深め,環境保全のために活動しようとするボランティアの育成を目的に,英彦山環境ボランティア研修実行委員会の主催事業として,本年度新規に開催されました。
 英彦山は,筑豊・北九州・京築地方に流れる河川の水源であり,福岡県,大分県等の水がめとしても重要な地域です。しかし,水源としての機能を果たす英彦山の森林は,後継者不足や自然災害等のため,荒廃しつつあります。森林を健全な状態に保つためには,適切な手入れが必要であり,特に人工林の伐採による手入れは,風害,冠雪害などの諸害に対する耐性を高めるためにも必要であり,林床植生を絶やさないためにも,物質循環の促進のためにも欠かせないものです。つまり,森林の手入れは,土壌や水資源の保全,生物多様性などの多様な森林機能発揮のためにも必要なことです。
 また,木は周知のとおり,二酸化炭素を吸収し酸素を作りだす機能を持っています。しかし前述のとおり森林の荒廃は,その機能を低下させます。そのためにも適切な伐採と,木材の利用など森林の手入れは,地球環境保全のために必要なことです。
 そこで本年度,3回の研修を設定し,森林の役割について知る場や森林保全活動のためのボランティア活動の意義を知る場を設けたり,英彦山青年の家周辺の人工林(杉)を伐採し,伐採した木材を使ってツリーハウスを作り,伐採跡地に植林する活動を計画しました。この活動をとおして,自然の豊かさを感じたり,自然に親しみを持たせたりすることで,森林を保護,再生していくことの意義や大切さに気づかせ,参加者の環境ボランティアに関わろうとする意欲を高めたいと考えました。
 第1回目の「英彦山環境ボランティア研修」は,森林の役割について知る場を設け,森林が持つ機能や私たちが受ける恩恵等について知る場を設けた後,英彦山青年の家周辺の人工林(杉)をチェンソーを使って伐採する活動を行い,自然の偉大さや親しみを感じることができるようにしました。


○ 参加者の声
・森林について全く知らなかったので,今日の講話を聞いて良かったと思った。森林は,生物の多様性であるという言葉が一番印象的でした。
・森林は,多様性の宝庫と言われたとおり,それぞれ役割があることを知りました。そのサイクルができているから種々の森林の機能を作り出していることがわかりました。
・森林は,私たちの生活にとても関係していることがわかかりました。
・森林の歴史がよくわかり,人間には森林が必要だとわかりました。
・今まで,森林とは,二酸化炭素を吸収し,酸素に変えるとばかり思っていました。
・人類学の観点から日本人の話のルーツが森林にあるという考え方を知り,新鮮さを感じました。日本人は,今も昔も森林に支えられて生きてきたと実感する講話でした。
・なかなか体験することのできない伐採をする中で,木の重みを実感しました。難しかったですが,いろいろご指導いただいて安心して取り組めました。
・チェンソーで木を切れたので良かったです。また,立っている木を切るところがみれて良かった。とても感動しました。
・机上では感じられないような体験ができました。
・木を切ることは駄目だとばかり思っていましたが,切ることも植える作業へのステップだし,燃やすことなく使えば,CO2の排出もないので,いいサイクルだと思いました。
・実際に森の中で作業することで,木々の1本1本が伐採されても役に立っていくことがわかりました。
・今まで森林など,全く知識がなく考えたこともなかったので,今日森林の育つ過程や森林の役割について話を聞けたのは,とても貴重な経験をさせてもらいました。興味も出てきたので家でも調べてみたいなと思いました。
・チェンソー体験でも,とても難しくて怖かったけど,普通の人には味わえないことなので,うれしかったです。
・チェンソーを使うとは思っていなかったので驚きました。最初は怖くていやだったけど,してみると楽しかったです。木は成長するのに時間がかかるので,切るときは丁寧に切らなければならないと思いました。
・チェンソーは,とても怖かったけど,上手に切れて良かったです。ツリーハウスも作ってみたいです。
・環境保全のために木を切るというのは不思議に思っていましたが,循環するということを知って納得しました。
・3回に渡って活動するのは,なかなか経験がないので,是非,今後2回も参加したいです。木を切り倒すところを見せてもらえてびっくりでしたが,自然の壮大さを感じました。

○ 全体をとおして
 第1回目の「英彦山環境ボランティア研修」は,台風接近のため半数以上の方が参加を見合わせるかたちとなってしまいました。しかし,当日は台風が若干それたため,曇り空の下,活動するには絶好のコンディションの中で事業を開催することができました。
 森林の持つ役割についての講話では,福岡教育大学名誉教授,兼森林インストラクターである石井勝 氏から,森林が持つ役割だけでなく,日本人のルーツが森林にあるという考え方や,日本人は今も昔も森林に支えられて生きているということなどをわかりやすくお話しいただきました。また,森林伐採の実習では,地元で林業に携わっていらっしゃる森 功二郎 氏にチェンソーの使い方を指導していただいた後,実際にチェンソーを使って伐採した杉の枝打ちをしたり,3mごとに丸太を切断したりしました。また,偶然風がやみ,安全に木を切り倒すことができると判断したため,実際に杉の木を伐採するところの見学も行いました。
 参加者の多くは,講話を聞くことで森林を「二酸化炭素を吸収し,酸素を放出するもの」としてだけでなく,森林が持つ豊かな機能や私たちにもたらす恵みなど広い視野で捉えることができたようでした。さらに,森林伐採では,自然の壮大さや重み,木の生命力を感じることができたようです。この様な活動をとおして炭素の循環や環境保全について深く考えさせられた参加者が多くいました。
 次回は,伐採した伐採林を使ってツリーハウスを作製することをとおして,さらに環境保全活動について考えを深めていけるようにしていきたいと考えています。


○ 活動写真

石井先生による講話 講話に聞き入る参加者達 チェンソーの使い方の説明
チェンソーの重さを体感 枝打ちの説明 手を添えてもらいながらの枝打ち
自ら枝打ちをする参加者  丸太の切断 木の伐採風景を見学