事業の報告 平成28年度
  3.環境ボランティア研修in英彦山Ⅱ
ねらい
 自然豊かな英彦山を舞台に、講話や実習等をとおして、森林環境や河川環境に関する理解を深めるとともに、環境保全のためのボランティア活動に主体的に参加しようとする人材の育成を図る。
期 日  平成28年8月7日(日)

参加者 15名(高校生8名、教員1名、一般3名、ボランティア団体3名)

プログラム
【6月12日(日)】
 時  間 活 動 内 容 
10:00~10:10 開講式(みやこ町中央公民館)
10:10~10:40 講話「祓川における環境保全の取組について」
(みやこ町中央公民館)
10:50~11:10 みやこ町ほたるの里公園へ移動
11:15~12:10 活動「水生生物調査体験」(みやこ町ほたるの里公園)
13:00~13:30 行橋市立今元小学校へ移動
13:40~14:10 講話「川の生き物と保全」(行橋市立今元小学校)
14:20~15:20 活動「水質調査体験」(行橋市立今元小学校)
15:30~15:45 閉講式(行橋市立今元小学校) 


具体的な活動
講話【祓川における環境保全の取組について】
 参加者が現在の河川環境問題や環境保全活動に対する関心と意欲を高めることができるように、豊の国海幸山幸ネットの田中敦子先生に講話「祓川における環境保全の取組について」をしていただきました。田中先生は、祓川の景観を守る取組に興味を持ってもらうために、紙芝居や絵地図等を作成したり、イベントを企画したりする活動について、DVDを使いながら説明されました。また、英彦山は福岡県の各地域を流れる川の源である「水分の山」として、福岡県の環境シンボルであることについても話されました。参加者は、祓川における水環境の現状や河川環境を保全するための取組について学びました。
↑祓川の環境保全の取組を説明される田中先生 ↑活動紹介のDVDを視聴する参加者

参加者の声
お話を聞いて川を守る活動に興味を持ちました。そういう団体があるのは、とても素敵だと思いました。
川の環境を保全するためにどうすればいいのかなどを考え、今の現状を知ることができました。
祓川の河口から英彦山を歩く活動など様々な取組を行っていることを知ることができてよかったです。
祓川河口付近の場所の環境を守る活動について知ることができました。 

活動【水生生物調査体験】
 参加者が川の水質や川に生息する水生生物に対して興味・関心を持ち、河川環境の保全に対する意識を高めることができるように、祓川中流にあるみやこ町ほたるの里公園において、水生生物調査を行いました。初めに、講師の福岡県保健環境研究所の中島淳先生から、調査に適した場所、必要な道具や生き物の採り方について説明していただきました。今回の水生生物調査では、福岡県環境部自然環境課が発行している河川の環境調査表を使って、淡水魚や水生生物などの生き物の種類ごとに決められた点数を計算して調べました。採れた生き物の点数を合計し、合計点数を種類数で割って平均点数を計算し、平均点数が高いほど水質が良いということになります。説明の後、参加者は川の中に入り、生き物を採取した後、種類ごとに分けて名前を調べ、調査表に点数を計算していきました。その結果、アカザ、ヨシノボリなどの淡水魚やチラカゲロウなどの水生昆虫といった点数の高い生き物を採取できたため、平均点数が高く、水質がきれいだということが分かりました。参加者は、水生生物調査体験を通して身近な自然に接し、水環境問題への関心を高めていきました。
↑水生生物調査について説明される中島先生 ↑川の中の生き物を採取する参加者
 
↑採取した淡水魚を観察する参加者 ↑講師の説明を聞いて記録を取る参加者

参加者の声
たくさんの虫や魚がいて、少し興味を持ちました。
実際に川に入って虫や魚を捕まえたり、水質を調べたりして、川の状態を詳しく知ることができて、すごくいい経験ができたと思いました。
水生生物調査をして、色々な生物がいて面白かったです。 
貴重なナマズを見ることができ、水生生物を知るのに大変参考になり、うれしかったです。 

活動【水質調査体験】
 午後から、行橋市立今元小学校に移動した後、祓川下流の水質調査と水生生物調査を予定していましたが、荒天が予想されたため、今元小学校体育館内で水質調査体験を行いました。
まず、講師の中島先生から、川の生き物と保全についての説明をしていただきました。参加者は、説明を通して、川の環境を守るためには、地域固有の生き物がその地域で生きることができるようにしていく必要があることを学びました。
次に、今元小学校前の祓川の水質を調べるために、同じ場所で事前に採取した水と、当日採取した水との比較を行いました。今回の水質調査では、パックテストという方法で行いました。パックテストでは、キットに水を吸い取り、色の変化を見て水質の良さを調べます。色がピンクになるほど水質がきれいであり、色が薄くなるほど水質が汚れていることになります。参加者は、グループごとにパックテストを行い、色の反応を確かめながら調査を行いました。その結果、事前に採取した水は、河口付近の潮が引いた状態で有機物が少なかったため、濃いピンク色の反応が出て、水質がきれいということがわかりました。一方、当日に採取した水は、潮がやや満ちた状態で有機物が多かったため、薄いピンク色の反応が出て、水質が汚れているということがわかりました。参加者は、水質調査体験を通して、同じ場所でも、川の水に含まれる有機物の状態が変化すると、水質に影響を与えるということを学びました。
↑川の生き物と保全について説明する中島先生 ↑パックテストで水質を調べる参加者
↑水質調査で使ったパックテストのキット ↑水質調査の結果の振返りの様子

参加者の声
水質調査は、普段なかなかできないので、体験できてよかったです。
水質調査を初めて体験して、このようにするのだと知ることができて、とても楽しかったです。
川での生物を捕まえることも、今までになく初めての体験で、とても面白かったです。 
川の条件により調査に影響が出る化学検査と、影響がない生物調査に関心が湧きました。 

全体をとおして

 「環境ボランティア研修in英彦山Ⅱ」では、参加者が河川の環境保全活動に関する意欲を高めることができるように、祓川における環境保全活動の取組についての講話と、水質調査体験や水生生物調査体験を行いました。参加者からは「研修をとおして、環境問題について深く知ることができました。今後少しずつ関わっていきたいと思いました。」「今まで何も考えずに送っていた日常を見直してみようと思います。環境に気をつけて生活していきます。」「今回は実際に川に入って、虫や魚を捕まえたりして、川のきれいさなどが分かりました。」「今回のボランティア研修は楽しかったので、これからもいっぱい活動していきたいです。」という声が聞かれ、河川の環境保全への関心と意欲を高めるきっかけづくりとなりました。
 今後、地域での河川環境保全のためのボランティア活動に今回の研修で学んだことを役立てていただきたいです。