裁縫道具で使用する針の糸を通すための穴は、耳の穴に似ていることから「針の耳」とも言われています。英彦山青年の家のグラウンドのその奥、杉林に囲まれたところにひっそりと大きな岩が2つたたずんでいるのですが、この岩はある伝説があることから、昔より「針の耳」と呼ばれています。さて、どのような伝説があるのでしょうか・・・・

「針の耳伝説」
 
昔々、親孝行で優しい娘がいました。娘の父親は病気のため、ずっと寝込んでいました。娘の家は貧しく、薬は買えません。娘は、父の病気をなんとかしようと、暑い日も寒い日も、毎日豊前坊(高住神社)に通い、「父の病気が早く治りますように。」と、豊前坊様にお祈りをささげていました。
 そうしたある日、娘はいつものように祈りをささげようと豊前坊に行くと、なんと、神前に小判が置いてありました。「これはきっと豊前坊様が父のためにくださったものにちがいない。」と娘は思い、ありがたく持ち帰ることにしました。ところが、この様子を見ていた荒くれ者の山賊は、「娘から小判を奪い取ってやろう!」と考え、娘を追いかけ始めました。山賊に気がついた娘は、全速力で逃げました。しかし、娘と山賊の距離はどんどん近くなっていきます。娘が山賊に捕まりそうになったまさにその時、娘の前に大きな岩が2つ現われました。その岩と岩にはわずかな隙間があり、娘はその岩の隙間に逃げ込みました。しかし、山賊も娘のあとを追ってその岩の隙間に飛び込み、娘を追いかけようとしました。・・・・その時です。2つの岩は隙間を塞ぐように急に動きだし、山賊はあっという間に岩に挟まれて死んでしまいました。おかげで娘は父に薬を買うことができ、父の病気も治ったということです。
 その岩の隙間があまりにも狭かったことから、それ以来この岩は「針の耳」と呼ばれるようになり、親孝行で心の清い者しか通れないと言われています。


 
英彦山青年の家にある2つの岩こそ、その「針の耳」であると言われています。2つの岩と岩の間にはわずかな隙間があります。お越しの際には、「針の耳」を通り抜けることができるかどうか体験をしてみてください。親孝行な方でしたら見事に隙間を通り抜けられることでしょう。青年の家では、針の耳付近に「親孝行」または「親不孝」と書かれた手に持てる看板を置いています。体験した後の記念撮影などにご利用ください。