事業報告
 2019年度

中国・四国・九州地区生涯教育実践研究交流会第38回大会 
 
 主催
  福岡県教育委員会 日本生涯教育学会九州支部
 
 主管
  中国・四国・九州地区生涯教育実践研究交流会第38回大会実行委員会 
  福岡県立社会教育総合センター 
 
 期日
  2019年5月19日(土)・20日(日)〔情報交換会5月18日(金)〕
 
 参加者
   情報交換会:42名、宿泊者:86名
   1日目:369名、 交流会:261名、 宿泊者:193名
   2日目:216名            参加者数合計(延べ) 585名

第38回実践交流会代表挨拶
 
    

 第38回の「中国・四国・九州地区生涯教育実践研究交流会」を開催することになりました。今年も各県の28の実践事例を推薦いただき、実行委員・大会事務局・当大会ご参加の皆様方に心から感謝申し上げます。
 近年、地域(まち)をブラブラしながら取材し、レポート発信しています。そこには、地域から見る重要な気付きがあります。それは地域が、人口減少、少子高齢化、さらには、限界・消滅集落、学校の統廃合・廃校、空き家、買い物難民等々多くの課題に直面していることです。
 一方、内閣府等では、人生100年時代の到来、Socity5.0(狩猟・農耕・工業・情報・人間中心社会)実現等が提唱されています。  今後の『未来の必要』を目指すには、一つには、持続可能な社会づくり(SDGs)を進めるため、地域住民自らが地域運営に主体的に関わる組織づくりが重要です。二つには、住民自ら必要な事を学び・向上し、その成果を地域づくり等に活用する人材育成等が求められます。具体的にどうするかが喫緊の課題です。
 このような中、昨年(平成30年)12月21日、中央教育審議会から「人口減少時代の新しい地域づくりに向けた社会教育の振興方策について」(答申)が出されました。平成が終わる年に「平成最後の答申」が出されたのです。そこでは、「地域におけ る社会教育の目指すもの」として「『社会教育』を基盤とした、ひとづくり・つながりづくり・地域づくり」としています。さらに、「新たな社会教育の方向性」として「開かれ、つながる社会教育の実現」を掲げ「住民の主体的な参加のためのきっかけづくり」 「ネットワーク型行政の実質化」「地域の学びと活動を活性化する人材育成の活躍」等を提言しています。まさに、従来から社会教育が目指してきた事であり、当「実践研究交流会」の存在意義があります。
 第38回大会も、28の実践事例発表とともに、恒例の「特別報告「グローバル時代の日本文化再考」や「特別企画『高齢社会の放送大学』」、「『学習療法』で認知症高齢者の脳機能活性化に挑む」も、まさに、我が国の抱える重要課題です。ご期待下さ い。本大会をご支援・ご指導くださいます各県実行委員の皆様をはじめ、福岡県教育委員会、福岡県立社会教育総合センターに心より厚く感謝申し上げます。



                                 中国・四国・九州地区生涯教育実践研究交流会 代表世話人 古市 勝也

   
発表内容及びプログラム
 ■5月18日(金)情報交換会 19:00~
 ■5月19日(土)
  ◇開会式 10:15~10:45
  主催者あいさつ   福岡県教育庁教育監 中島 良博   
 ◇実践発表① 10:45~12:30 12事例発表 
開成中学星サンタ~中学生の地域交流の創出~(佐賀県佐賀市)
 佐賀市立開成公民館 主事 宮田 朋美 氏

高校生が本気で動き出す!~高校生×宮崎のかっこいい大人~(宮崎県宮崎市)
 みやざきジョブシャドウイング実行委員会 代表 猪俣 志保 氏
 みやざきジョブシャドウイング実行委員会 副代表 川内 健二 氏
 みやざきジョブシャドウイング実行委員会 副代表 桑畑 夏生 氏

未来を織りなす人づくり ~西郷どんの里「龍郷町」、地域ぐるみ青少年事業の特色~(鹿児島県滝郷町)
 龍郷町教育委員会 主査 重田 美咲 氏

廃校舎活用の新たな試み~限界集落の負けない底力~(山口県岩国市)
 ふるさとづくり推進協議会 上村 博雅 氏
 ふるさとづくり推進協議会 篠田 三宜 氏
 ふるさとづくり推進協議会 田中 時子 氏

歌とダンスで村の魅力発信! ~ほせぇ村からこんにちは、元気もりもり日吉津村~(鳥取県日吉津村)
 日吉津村教育委員会 教育長 井田 博之 氏

小学校留守家庭子ども会での活動(福岡県福岡市)
 Little Hands 代表 中馬 綾香 氏

今、求められる公民館活動~「サテライト菊池教室」からの学び~(熊本県菊池市)
 菊池市中央公民館長 山本 美千代 氏

学校と連携・協働した公民館事業(福岡県福岡市)
 東箱崎公民館 元館長 花田 健司 氏

公民館活動における協働の仕組みづくり ~子どもを育てる公民館と学校の協働~(大分県大分市)
 大分市川添公民館 公民館主事 赤峯 友子 氏

おもちゃ病院活動の生涯学習への貢献(福岡県糸島市)
 ボランティア団体 おもちゃ病院伊都国 顧問 波多江 保彦 氏

おいでよ~「なぎさ未来塾・ひまわりハウス『わいわい食堂』」(鹿児島県姶良市)
 松原なぎさ校区コミュニティー協議会長 追鳥 嘉正 氏
 NPO法人Lかごしま 理事長 吉村 哲朗 氏

女子目線でのマチナカ再発見~女子部流楽しさの仕掛けとその先~)(長崎県長崎市)
 ナガサキマチナカ女子部長 阿部 美和子 氏

 ◇実践発表② 13:30~16:10 16事例発表
霧島おむすび自然学校~障がいのある人たちの野外活動の実践~(宮崎県小林市)
 霧島おむすび自然学校 事務局長 壹岐 博彦 氏

高校生による地元再発見~「民家の甲子園」愛媛県大会がもたらす効果~(愛媛県西条市)
 「民家の甲子園」愛媛県大会実行委員会 委員 處 淳子 氏

「勝央町カタルバ講座」の実践・手法~中高生が地域で輝く出番づくり~ (岡山県勝央町)
 勝央町教育委員会 社会教育主事(主査) 三戸 祥惠 氏

舞台体験を通した子どもたちの居場所づくり・地域づくりの実際
  ~子どもも大人もつながる新たなコミュニティの構築~(大阪府大阪狭山市)
 大阪狭山ギジムナーの会 代表 田中 晶子 氏

「ながとジュニアリーダーズクラブ」の組織と連携活動の実際(山口県長門市)
 長門市教育員会 社会教育指導員 久保田 啓子 氏

三方良しの「新・職場体験」 (島根県益田市)
 益田市教育委員会 派遣社会教育主事 田原 俊輔 氏
 益田市教育委員会 主任主事 豊田 浩司 氏

キャリア教育『夢授業』(福岡県北九州市)
 北九州キャリア教育研究会 会長 木原 大助 氏

子どもたちが「楽しく学べる出前講座」への思いと活動(高知県高知市)
 学び場人材バンク登録講師・地球33番地
 クラフト工房代表
高橋 昌美 氏

ハッチョウトンボを通じた地域ぐるみのESD学習 (島根県浜田市)
 浜田市立雲城公民館 館長 岡本 修治 氏

「親孝行の里」の地域力の源泉 ~津波見名(つばみみょう)振興協議会の挑戦~(長崎県南島原市加津佐町)
 津波見名振興協議会 顧問 山下 信二 氏

「このまちにくらしたいプロジェクト」の運営と手法 (広島県広島市)
 古田公民館 主事 為政 久雄 氏

「いいづか市民マナビネットワーク」のシステムと取り組み(福岡県飯塚市)
 飯塚市教育委員会教育部生涯学習課
 中央公民館・図書館係
村岡  剛 氏

地域活性化に導入した「リードフォーアクション」の仕組みと手法
  ~仲間と一緒に読書・対話・課題発見・解決~ (徳島県徳島市)
 一般社団法人地域活性士会 理事・事務局長 観元 眞人 氏

地域みんなで防災アクティブラーニング~熊本地震の経験から学ぶ~ (熊本県(全域))
 くまもとクロスロード研究会 代表 徳永 伸介 氏

世界遺産 「勝連城」復活プロジェクト ~560年前に滅んだ城を蘇らせる~ (沖縄県うるま市)
 勝連城復活プロジェクト実行委員会委員長 牧門  司 氏
 南原小学校校長 與那嶺 忠 氏

まちづくりは〇〇〇! ~生き残りをかけたコミュニティの幕開け~(鳥取県鳥取市)
 NPO法人とうごう未来応援隊 代表理事 橋﨑 和弘 氏

 ◇実践発表の様子  10:45~16:15

 ◇特別報告 16:30~17:00


「グローバル時代の日本文化再考」
     ~文化がつくりだす「国柄」と「副作用」~
  報告者  三浦 清一郎 氏 

 ◇第38回大会交流会 17:30~20:00
 
特別企画 「超高齢社会の『未来の必要』」
 
 第1部 9:00~10:10

<インタビュー・ダイアローグ>
「高齢社会の放送大学」
~その使命と活用の可能性~




登壇者 中央教育審議会委員 
放送大学特任教授・福岡学習センター所長
 
菊川 律子 
放送大学大学院修了者 元北九州市若松区長 西之原 鉄也
聞き手  九州共立大学名誉教授 古市 勝也 
九州女子大学教授 人間科学部長  大島 まな 

第2部 10:20~11:30

<インタビュー・ダイアローグ>
「『学習療法』で認知症高齢者の脳機能活性化に挑む」

登壇者 福岡県大川市:社会福祉法人道海永寿会総所長 
介護老人福祉施設永寿園 園長
山崎 律美
聞き手 月刊生涯学習通信『風の便り』編集長 三浦 清一郎 
元飯塚市教育委員会教育長 
飯塚市青少年教育施設 サンビレッジ茜理事長
森本 精造 

総括 閉会式 11:30~
参加者の声 (抜粋)
 ☆ 実践発表について
立場がそれぞれ違うので同じことをできるとは思えないが、手法として参考になる点を見つけることができたと思います。
どの発表も今の課題を地域の資源を上手に使って取り組んでいると思いました。
公民館が地域の中心となって、子育てや地域活性化に結びついているところが多いと思いました。
居場所づくりには、いろんなカタチがあることに気付かされました。居場所の中で、自分の役割や存在を認めてもらうことが大切だと感じました。
それぞれの地域で工夫して、地域の特徴に合わせて学ぶ機会、交流する機会は素晴らしいです。

☆ 特別報告「『グローバル時代の日本文化再考』~文化がつくりだす「国柄」と「副作用」~」について
自分自身の日々の生活習慣から生まれる発想が正しいのかを常に検証することを忘れないようにしたいと思います。
いつものように鋭い感覚で問題点を指摘してくれました。
「世界に開かれた日本」これからの世の中をつくるキーワードかもしれない。子どもたちに伝えていきたいです。
今後の社会に向けての考え方、あり方についての指針になるようなお話で、大変参考になりました。
日本文化の良いところと悪いところを理解しておかないといけないと思いました。
 
☆ 特別企画 第1部 「高齢社会の放送大学」~その使命と活用の可能性~について
学習は、成果がすべてではない。その人が幸福かどうかということを目指していきます。
「社会は実年齢に役割を求めなければならない」を今後の生活の中で、自他ともに意識したいと思います。
学びたいというニーズに応える社会づくりの視点が参考となりました。
高齢者に、社会に求められているという実感を得られるような場づくりの必要性を痛感させられました。
人の学び直しとは何か、大切なことは何か、改めて考えさせられました。

☆ 特別企画 第2部 「『学習療法』で認知症高齢者の脳機能活性化に挑む」]について
認知症予備軍が増えている中、ぜひ介護施設や地域でも取り入れてほしいと思いました。
人生百年時代の認知症と学習のあり方、教育について考えさせられました。
とても素晴らしい実践だと考えさせられました。ありがとうございました。自分の地域での導入を考えます。
今後の事業に取り入れることができそうな具体的事例が多く、高齢者対象の学習についてのヒントがたくさん得られました。 
人は学ぶこと、そして、役割を与えられることに幸せを感じるのだという印象をもちました。
 
☆ その他の声
様々な人のお話を聞けたことは、とても自分のためになりました。
少子高齢社会の社会教育の重要性を再認識しました。
いつも気づきを与えていただくことに感謝しております。
初めての参加でしたが、刺激と元気をもらいました。また参加したいです。 
社会教育・生涯学習に関わる多くの方と交流ができ、地域ごとの取組を知ることができ良い機会でした。