事業報告

 令和元年度  現代的課題対応研修

学校とともにある地域づくり・人づくり推進セミナー@
(地域学校協働活動推進員研修会)

 
 期 日  令和元年6月18日(火)
 参加者  104名
 趣旨
 地域全体で子どもたちの成長を支え、地域づくり・人づくりを目的とした地域学校協働活動を推進するため、関係者の理解促進と地域学校協働活動推進員等の育成を図り、今後の取組の充実につなげる機会とする。
 活動の様子

【説 明】<事業説明>「地域と学校との連携・協働の方向性や考え方」

 福岡県立社会教育総合センター 指導主事
 Society5.0に代表される高度情報社会と人生100年時代を迎える中、これからの学校と地域の目指すべき連携・協働の姿として、学校を核とした地域づくりの推進が求められています。平成29年に改正された社会教育法では、地域住民等と学校との連携協力体制の整備や、普及啓発活動などの措置を講じること、また、コーディネーターとしての役割を果たす者について、地域学校協働活動推進員として教育委員会が委嘱できる規定が設けられました。さらに平成30年12月中央教育審議会「人口減少時代の新しい地域づくりに向けた社会教育の振興方策について(答申)」では、今後の地域における社会教育の在り方について、社会教育を基盤とした人づくり・つながりづくり・地域づくりの重要性とともに、新たな社会教育の方向性として開かれ、つながる社会教育の実現の必要性について指摘しています。
 本県においても県教育施策実施計画の中で「学校と地域が連携・協働した地域学校協働活動の取組を推進し、地域人材の協力を得て、放課後等などの活動の充実を図る」ことを施設の基本的なねらいとして学校を核とした地域づくりを推進しています。
 本研修会では、地域と学校をつなぐ先進的な事例の発表や国や県の動向、連携・協働の進め方等についての講義を通して、学校とともにある地域づくり・人づくりにおける関係者の理解促進と今後の取組の充実につなげる機会としました。

【研修1】<事例発表>
     「公民館がつなぐ、地域と学校」 〜地域総がかりで子どもたちを育てる〜

 山口県長門市 深川中学校区深川地域協育ネット
長門市中央公民館 館長 財満 俊夫 氏
事例発表の様子 平成27年度から長門中央公民館 館長として地域に関わる活動に取り組まれてある財満氏は、はじめに、コミュニティ・スクール設置率100%という山口県における教育事情を紹介されました。山口県型地域連携教育の一環である、深川中学校区深川地域協育ネットとの連携事業では「地域総がかりで子どもたちを育てる」というスローガンのもと、学校と地域住民、そして公民館が一体的に連携した活動について報告されました。地域協育ネットでは、環境の変化により子育ての問題が多様化・複雑化していることを踏まえ、学校運営協議会と両輪となって、地域ぐるみで子どもを育てることを重点に活動を進められていました。具体的な事例として、中学生のボランティア活動や、学校施設を地域住民が活用していることなどについて報告していただきました。今後、地域と学校の連携した取り組みを進めていく上で「地域の大人が子どもを育て、子どもが地域を育てる」視点が重要であるというメッセージを参加者に伝えてくださいました。

【研修2】<講義>
     「地域と学校の連携・協働の推進に向けて」
      〜「地域とともにある学校づくり」と「学校を核とした地域づくり」を両輪として〜

国立教育政策研究所社会教育実践研究センター 
専門調査員  國府田 大 氏

講義の様子 研修2の講義では、はじめに、国立教育政策研究所社会教育実践研究センターやセンター事業についての御紹介がありました。今後の地域と学校の連携・協働の推進に向けて、「地域とともにある学校づくり」と「学校を核とした地域づくり」の両輪について御講義いただきました。地域と学校との連携・協働の推進に関わる国の動向や、活動の現況と効果や課題について分かりやすく解説してくださいました。これからのポイントとして、子どもたちのどのような資質・能力を育むのかを学校と地域が共有の上、連携していく必要があることや、地域として人を育てていくために、学校と地域がプロセスに向き合う学びを構築することなど具体的な事例を交えてお話していただきました。全国各地での視察や調査研究をもとにした國府田先生のお話に、参加者の皆さんからも「コミュニティ・スクールができてきて、地域とのかかわりがとても重要なことがわかりました。」「学校支援ボランティア活動ハンドブックはとても良いと思いました。」といった感想が聞かれました。

【研修3】<グループ協議>
     「地域と学校が一体となった活動を目指して」

社会教育総合センター 指導主事
グループ協議の様子 研修3では、本日の講義で学んだことや、日々の業務を推進していく上で感じている悩みや疑問など自由に話し合う場づくりを目的としてグループ協議を行いました。業種や立場の異なる方で4人1組となっていただきグループ協議の場を設定しました。まず全体で、協議のルールについて確認しました。そして、それぞれの地域や立場で、学校と地域が連携・協働している取組について紹介していただき、その中で特に困っていることや課題と感じていることを出し合いました。その後、その課題を解決していくためのアイデアについて考え、グループ内で交流し考えを深めました。この協議を通して、学校と地域が共通の目標を持って子ども育てることの大切さを確認できました。最後に学校と地域が一体となった活動を進めていくためのキーワードをそれぞれが考えて発表しました。「学校・地域を結ぶシステムづくり」「三間(時間・空間・仲間)」などのキーワードが出され、参加者の今後への高い意欲を感じる協議となりました。
 
 参加者の声
 【研修1】<事例発表>
公民館が中心(本部)となり、学校、地域と協働してさまざまな取組みをしていることが良くわかりました。子どもたちの生きる力をつけ、地域も活性化し、教師の負担も軽減できる取組が参考になりました。地域の中で子どもたちの出番や役割をつくることの大切さを学びました。
地域と学校をつなぐコーディネーターの役割、責任を深く学ばせていただきました。コーディネーターとしての公民館の役割が、よくわかりました。実践例をもっと聞きたかったです。財満さんのお人柄が素晴らしいです。
   
 【研修2】<講義>
コミュニティ・スクールと地域学校協働活動の関係がよくわかりました。また、地域と学校の協働の必要性や歴史も分かりました。コミュニティ・スクールと地域学校協働本部にはそれぞれの役割があり、連携することが大切であることが再確認できました。
連携と協働、統合化、ネットワーク化など重要なキーワードがよく理解できました。お話の間のとり方や声が素晴らしく、教員として、その点でも参考になりました。地域と学校の関係の基礎的な部分や、全体の把握ができました。
   
 【研修3】<講義>
いろいろな立場の方とのテーブルとなり、様々な意見を聞くことができました。各職場でのユニークな取組が参考になりました。他市町、学校のことがたくさん聞くことができて、大変勉強になりました。いろいろな角度から協議できたことはとてもよかったです。
公民館やコミュニティ・スクールの事が分かり、学校の実態を知ってもらえてよかったです。もっと時間がほしかったと思いました。現役でコーディネーターをされている方から聞いたお話はとてもためになりました。
   
 【全体の満足度について】
この事業を進めていくためには、地域、教員が「なぜこの取り組みが必要か」という理論をしっかりと学ぶ必要があると思います。今後も取り組み事例を紹介してほしいです。
学校現場や生涯学習、社会教育のことを知らなければ、今の流れからただやりましょう、とは言えないと思いました。この研修に参加して本当によかったです。
小中学校では地域の連携が進んでいると思われますが、高校での具体的事例をもっと紹介していただければ幸いです。地域学校協働活動、コミュニティ・スクールの導入はまだですが、楽しみになりました。できることからやっていこうと思います。来年も来させていただきます。