事業報告
 令和2年度 現代的課題対応研修

人生100年時代での社会教育が果たす役割
〜防災教育からはじめる地域の防災・減災のまちづくり〜

 
 期 日  令和2年10月 8日(木) 13:10〜15:50
 参加者 123名
 事業内容
 人生100年時代を見据え、多様化し複雑化する現代的課題を解決しながら持続可能な社会づくりを目指すために、「社会教育」を基盤とした、「人づくり・つながりづくり・地域づくり」が求められており、防災・減災教育を中心とした「地域の防災・減災」について学び、社会教育の果たすべき役割について考える研修とする。
 内容の実際

【研修1】<講 議>
「地域における防災・減災のあり方」

講 師:九州大学大学院工学研究院附属アジア防災研究センター 教授 三谷 泰浩 氏

  まず、自然災害の概念や被害等について、図やグラフをもとに説明されました。その中で、災害リスクは原因事象の大きさ(ハザード)と被災しうる人や財産の数量(脆弱性)に規定されることを話されました。そして、自然災害から身を守るために「自然外力に対して強い社会をつくること=防災」「ある程度の被害を想定し、その被害を最小限にすること=減災」という視点で対策を立てることが重要であると話されました。講義の様子画像また、災害における情報について、水害・土砂災害の防災情報では各警戒レベルにおいてどのように行動するのか具体的に示されたり、実際のハザードマップを提示しながらその内容や種類、活用の仕方やその問題点について話したりする等、専門的な視点で説明されました。
 そして、被災地の現地調査や自治体への防災対策支援の様子を紹介しながら防災・減災の取り組み(災害リスクコミュニケーション、防災システムの導入、地区防災計画の策定等)について話されました。災害リスクコミュニケーションとは、行政、住民、専門家の三者で地区防災について議論し、自然災害に対する理解を深め、最適な地区防災計画を検討したり、地区防災マップを作成したりするものであることを説明されました。また、東峰村の地区防災計画をもとに、これから起こるかもしれない災害に対して周囲の状況を考慮に入れて「いつ」「誰が」「何をするのか」を時系列で整理した行動計画書(タイムライン)の作成やその効果について具体的に説明されました。
 最後に、「自助・互助・共助の重要性」「行政主導ではない防災の重要性」「地域の実情に応じた防災対策」「災害対応には外部からの支援が不可欠であり、そのために地域の連携を高めることが重要であること」と、地域における防災・減災のポイントについてまとめられました。

【研修2】<事例発表>
「防災・減災に向けた私たちの取り組み」 

発表者:NPO法人住みよいあさくらをめざす風おこしの会  理事長 星野 洋子 氏
 
 自分の命、家族の命、地域の命を守る防災力をアップするために「被災した地域だからこそ伝えよう」をテーマにした「実践!命を守る防災力講座」の取組を中心に事例発表していただきました。事例発表の様子写真 「実践!命を守る防災力講座」は全5回の連続講座であり、「災害の実態を専門的な観点から学び、リスク対応を考える」、「被災体験者の話」、「男女共同参画を視点にした地域の防災力」、「アウトドアで体験しながら防災を学ぶ」、「ワークショップで新たに防災・減災の課題と対策を考える」など、各講座の内容を紹介されました。そして、日頃からのつながりづくりを大切にし、災害に対して備えをしておくこと、「日常が防災」であるとまとめられました。

 
 参加者の声
〜講義〜
行政に頼らず地域で防災力を高める取り組みに共感した。
用語の難しさなどはあるが、いろんな人が見てわかる、ユニバーサル的な視点が防災教育にも必要だと感じた。専門家と行政、住民とが協力して取り組みをしていく中で、地域のリスクマップや、住んでいる地域単位での避難計画など少しずつやっていくことが大切だと感じた。ハザードマップを活用できるように、知識として住民一人ひとりが危険が迫った時に正しく判断、行動ができるような社会教育、地域での学ぶ機会を各自治体で設ける必要性を感じた。
自分の地域について、ハザードマップに頼りすぎずに、自分達でリスクマップを作成する必要性を感じました。
災害の種類や程度によっての対応を具体的に分かるように準備しておくことの大切さを実感しました。
   
 〜事例発表〜
地域で防災・減災を取り上げるには様々な年齢層や多様な職種の方と一緒にすることが良いと感じた。
継続した講座を通して、被災の大変な現実から、住民の前向きな防災の意識を高める取組をされていることに感心しました。
市町村が連携しての防災のまちづくりの取組を具体的に知ることができた。
講師の力を借りて地域の防災意識を高めることに成功していると思う。防災の啓発活動に参考にしたいと思います。
活動を通じて地域住民によるつながりづくりがより深まっているように感じました。つながりづくりがより防災や減災への一歩になると思います。
   
 〜全体を通して〜
地域で、できる事をできる時にできる人を集めての体制作りが大切と思った。
参加してよかったと思います。内容と共に、感染対策もきちんとされていたので、安心でした。
やはり社会教育としての防災、減災が大切だと改めて思いました。
今日の研修を参考に地域の学習を進めていきたいと思います。
防災には地域のつながりがとても大事であるということを実感しました。情報発信(確実な情報)、事前の取組(防災に対する研修や訓練)をしっかりとやっていきたいと思います。