事業報告
 平成26年度

中国・四国・九州地区生涯教育実践研究交流会第
33回大会 
 
 主催
  福岡県教育委員会 日本生涯教育学会九州支部
 
 主管
  中国・四国・九州地区生涯教育実践研究交流会第33回大会実行委員会 
  福岡県立社会教育総合センター 
 
 期日
  平成26年5月17日(土)・18日(日)〔情報交換会5月16日(金)〕
 
 参加者
   情報交換会:58名
   1日目:445名 交流会:322名
   2日目:283名            参加者数合計(延べ)728名
 
    第33回大会 巻頭言

     急激な社会変化の中では「前年並みは後退」です
          ~「攻め」と「発想の転換」を!!~

 昭和46年に国の社会教育審議会が「急激な社会構造の変化に対処する社会教育の在り方について」を答申して40数年過ぎました。答申後の社会はさらに変化し続けています。本大会はまさにこの急激な変化と共に歩いてきました。
 急激な社会変化は、急激であればあるほど施策も実践も「前年並みは後退」になります。第32回大会までに発表された909本の実践事例は各県の実行委員の皆さんの大変な御尽力で、常に社会の変化を見据えた先駆的、モデル的なものでした。
急激な社会構造の変化は、農村型社会を一挙に都市型社会に変え、交通・流通の革命を起こし、情報化・国際化を進展させ、少子高齢社会をもたらし、生涯学習の格差を助長してきました。人々の生活も、価値観も一変し、流動化、陳腐化、無境界化が進んでいます。それだけに節目の第30回大会で掲げた大会コンセプト「未来の必要」の精神は、以後の大会へと引き継がれ、問い続けられなければなりません。
 第33回目の本大会も、各県の実行委員さんのお骨折りにより素晴らしい実践が集まりました。毎年のことながら感謝しています。特に、2日目の特別企画には、全国の家庭が、学校が、地域が抱える現代的課題に果敢に挑戦し、その実践の結果は全国的に評価が高い二人の若手実践家、佐賀県の谷口仁史さん、島根県の岩本悠さんをお迎えできたことを大変嬉しく思っています。二人の実践は決して「守り」ではなく「攻め」です。ピンチをチャンスに変える「発想の転換」が各所で見られます。
 本大会は「言うは易く、行うは難し」を重視し「実践」にこだわってきました。
第33回大会を、参加者の皆さんの熱き「実践」の交流で盛り上げていただくことを期待しています。
                                                             代表世話人  森本 精造

発表内容及びプログラム
 ■5月16日(金)情報交換会 19:00~
 ■5月17日(土)
  ◇開会式 10:15~10:45
  主催者あいさつ  福岡県教育庁教育企画部 部長  吉田 法稔

 ◇実践発表① 10:45~12:30 12事例発表 
・「通学合宿」が目指す自主・自律の生活習慣と教育力ネットワーク(山口県宇部市)
   宇部市鵜ノ島校区子ども委員会 会長  熊谷 直久

・地域の教育力を補完し、自身の生涯学習力を維持する土曜講座~退職校長会の地域貢献~(鹿児島県姶良市)
   姶良市教育委員会 社会教育指導員 鵜木 孝夫

・社会教育は「民草」を育て、「民草」が地域を拓く~社会教育が生んだ自主組織:「草社の会」の志と実践~(長崎県)
   長崎県社会教育支援「草社の会」 会長  松本 英俊

・地域行事が「中学生ボランティア」を育て、「中学生ボランティア」が地域行事の「環」となる(佐賀県佐賀市)
   佐賀市巨勢校区子ども会連絡協議会 会長 宮地 朝男

・大学公開講座を横断する自主学習組織「六一会」の挑戦(徳島県徳島市)
   徳島大学大学開放実践センター同窓会「六一会」 会長  佐々木 隆

・「青春部」が挑む地域交流~「無理せず」、「楽しく」、「若者が動く」~(鳥取県日吉津村)
   日吉津村「富吉青春部」部長 山口 智久  副部長 増本 唯史 会計 石川 裕資

・親同士の絆を育む「ファシリテーター」養成事業~NPOがサポートする、2県にまたがった家庭教育支援~(熊本県全域、長崎県全市町村)
   NPO法人チェンジライフ熊本理事 三角 幸三

・自他の子育てを振り返り、親の「気付き」を促す参加型学習講座:「親プロ」の全町展開(広島県府中町)
   府中町教育委員会  社会教育委員  米田 珠美 社会教育課主任  幅野 得恵

・「はやめ南人情ネットワーク」が創出した認知症見守りの「大牟田方式」~地域再生大賞に輝く20年~(福岡県大牟田市)
   大牟田市駛馬南校区社会福祉協議会 会長 汐待 律子

・楽しいまちづくり講座「大原維新」 ~参加型学習のワークショップの導入による地域コミュニケーションの活性化~(福岡県福岡市)
   福岡市大原公民館主事 夏目 洋子

・サロンづくりからコミュニティ・ビジネスへの挑戦(長崎県川棚町)
   みんなでワハハ代表 藤田 直子

・地域と学校の「互恵関係」を育む学校支援地域本部事業(熊本県八代市)
   八代市立第四中学校区学校支援地域本部地域教育協議会 地域教育コーディネーター 中村 謙太郎

 ◇実践発表② 13:30~16:15 16事例発表
・「笑わせたいわ笑学校」の基本理念と社会発信のための地域実践~「話し方教室」から「笑いを基点とした人間関係の創造」へ~(大分県大分市)
   笑わせたいわ笑学校 事務局 マックビーン 光子

・プールが育んだ地域の伝統・人々の絆~「はやぶさプール祭り」44年の軌跡~(鳥取県八頭町)
   八頭町隼地区公民館 館長  西村 昭二

・「幻の淡水魚:アカザ」が町の自然を守る
~「アカザ」を守ることで川を守り、川を守る活動で子どもたちが育ち、彼らはやがて未来のふるさとを守る~(福岡県添田町)
   アカザを守る会 代表 武貞 誉裕 

・行政サービス機能を代替し、住民自らが地域課題の実働組織となる~中山間地域の自立への挑戦~(山口県長門市)
   NPO法人ゆうゆうグリーン俵山 理事長 中原 英樹

・「南輝子どもステーション」~どの子も輝ける居場所を目指す~(岡山県岡山市)
   NPO法人タップ代表 古谷 義子

・学校が送り出す土曜授業の「地域体験活動」、子どもを通して学校が仕掛けた地域活性化戦略(熊本県阿蘇市)
   阿蘇市立内牧小学校校長  中野 晃 

・親の学びと家族の絆づくり~参加体験型家庭教育支援~(宮崎県)
   宮崎県教育委員会 家庭教育サポーター  藤﨑 路子

・古代史跡を巡るキッズ・アドベンチャー~少年自然の家が現代っ子につきつけた真夏の挑戦~(鳥取県琴浦町)
   船上山少年自然の家 指導主事 中本 祐二

・協働のまちづくりと男女共同参画のリーダー養成~協働の確立、ネットワークの形成、各地に育ったリーダーの活躍~(山口県山口市)
   やまぐちネットワークエコー 事務局長 金折 美津子 副代表 益田 徳子

・木製玩具を通した子育て支援ネットワークづくり~企業の社会貢献活動とNPO機能の融合~(沖縄県浦添市)
   株式会社オフィスハート 代表 土屋 佳子

・大学生による地域参画・地域交流が育む自助・共助のネットワーク
~大分大学高等教育開発センター学習ボランティアグループ「WITH」のまちづくり実践~(大分県大分市)
   大分大学高等教育開発センター学習ボランティアグループ「WITH」  梶原 里穂  宇野 優希  山下 露姫

・公民館が紡いだ「目的縁」の10年 ~住民による住民のための事業展開で、地域は力を蓄え、人々の縁は深まった~(島根県松江市)
   松江市古志原公民館 館長  竹谷 強

・学校図書館を校内一素敵な場所に~「学校図書館デザインサポーター」の図書館活性化戦略~(熊本県熊本市)
   熊本県学校図書館デザインサポート事業 学校図書館サポーター  筑紫 紀子

・PTA「おやじ部」による教育力創造の挑戦~子どもが楽しむ!親も楽しむ!親子で楽しむ!~(愛媛県西条市)
   西条市立小松小学校PTA 副会長 伊藤 憲一

・「体験」と「食」と「語り」で地域の子どもを育てる~保育所発「ふるさとの養育意識」の変革~(島根県益田市)
   益田市保育研究会・ふるさと教育研究委員会 委員長 河野 利文

・学校図書館の手づくりリニューアルの奇跡~激変した読書意欲のBefore&After~(佐賀県伊万里市)
   伊万里市立黒川小学校 教頭 峰 文子

 ◇実践発表の様子 



 ◇特別報告 16:30~17:00
テーマ:「心の危機」を予防する−医者に見えない教育問題、教育者が気づいていない医学症状—
     三浦 清一郎(月刊生涯学習通信「風の便り」編集長)
  

 ◇大会交流会 17:30~20:00
  
 
特別企画 2つのミニ講演とインタビュー・ダイアローグ
  「発想を変える、ボーダーを超える」
 

1 若者支援のフロンティアに挑む
 

谷口 仁史
(NPOスチューデント・サポート・フェイス代表理事)




2 過疎地の教育振興に挑む

岩本 悠 
(島根県海士町教育委員会 高校魅力化プロデューサー)




3 インタビュー・ダイアローグ

二つの実践の哲学・原理・方法論を聞く



コーディネーター  三浦 清一郎(月刊生涯学習通信「風の便り」編集長)
 登壇者  谷口 仁史 (NPOスチューデント・サポート・フェイス代表理事)
岩本 悠  (島根県海士町教育委員会 高校魅力化プロデューサー)

 

参加者の声 (抜粋)
 ◇実践発表について
・小さな工夫を積み重ねて着実な成果を上げている事例ばかりで素晴らしかったです。
・今、自分がかかえる問題の解決糸口が見えたような気がして、ファイトをもらいました。
・地域の課題をいかに解決していくかを情熱をもって取り組まれているからこそ、よりよいまちになっていくことがよく見えました。
・情熱的、革新的取り組みに心打たれた。
・学校ももっと地域の方の思いを聞いて、学校の外で、教育に携わる方たちと連携を取り、子どもたちに教育をしていかねばならないと感じました。 
 
◇特別報告について
・何をもって子どもを肯定すべきか、大人の見る目、体験の機会を作るなどの必要性、重要性を感じた。 
・普段感じていることを的確に言っていただきました。持ち帰って報告したい。
・医学と教育界の新しい接点づくりに向けた視点が興味深かったです。
・子ども~青年に「がまんする心」を育てたいと思いました。

◇特別企画について
・2つの講演題目では、現代の複雑な社会を読み解く1つのカギを知れたと感じた。 
・お二人とも、自分の取組を全国的に広めていくことを意識して取り組みを進めている点が最も参考になりました。
・熱い思い。志に大きな刺激を受けました。
・エネルギーを感じました。協働、ボーダーをこえてチームで対応する。人のつながりをつくりそれぞれの力を引き出す。大切さが伝わりました。
・とても貴重なお話を拝聴できました。逆境にあるときにどうするか。お二人の強さ柔軟さを感じました。
・お二人とも、大変エネルギッシュかつ冷静で視点が広く素晴らしかったです。新しいことを始める時の入りこみ方がとても参考になりました。