事業報告
 平成28年度
社会教育基礎研修 
「家庭教育支援者等基礎研修会」
 
 期 日  平成28年7月14日(木) 10:20〜15:30
 参加者   43名
 事業内容
 家庭の教育力低下が指摘され、子育てに悩みをもつ保護者が増加している中、社会全体で家庭教育の支援を行う必要性が求められており、地域における家庭教育支援の核となる家庭教育支援者等の育成が急務となっています。そこで、説明や事例発表、講義を通して家庭教育の現状をつかみ、その重要性を再認識するとともに、家庭教育支援者としての意欲の向上と今後の取組の充実を図ります。
 内容の実際
1【説  明】   「家庭教育に関する調査からみえてくるもの」
 説明者  研修・情報室 社会教育主事
 本研修会は、家庭教育を支援する人ということで、広く広報活動を行い、生涯学習課をはじめ43名の方にお集まりいただきました。その中でも、民生委員児童委員、自立支援員等、直接、家庭への支援に関わっておられる方のご参加が多かったため、1、家庭教育・家庭教育支援とは  2、家庭教育に関する調査から見える家庭教育支援の必要性 3、今後の方向性 の、大きく3点についての基礎的な内容を説明させていただきました。法令から家庭教育・家庭教育支援について定義したり、当センターで約5年ごとに行っている家庭教育調査である「小学生をもつ保護者の養育態度・意識の実態に関する調査」から課題を見出したりしていきながら、家庭教育支援に求められる取組を説明させていただきました。
2【事例発表】   「子育てサロンの取組」〜命の大切さ・親への感謝〜
発表者 特定非営利活動法人チャイルドケアセンター
                             理事  福本 敬江 氏 

  事例発表では、大野城市で中学校子育てサロンの取組をなさっている、特定非営利活動法人チャイルドケアセンターの福本さんより、そのノウハウ等を発表していただきました。
 福本さんは、次世代の親となる子ども達が思春期に家族のきずなや親の思いに気づくことができるように、中学校内に設置した子育てサロン(中学生3年家庭科時間内)において、中学生と乳幼児がふれ合う機会を提供する場「子育てサロン」を立ち上げています。
 当センターの家庭教育調査においても、親になる前、小さな子どもの世話を実際に経験したり、教わったりしたことがあるか聞いたところ、約66%の親が経験がないと答えています。
  立ち上げるまでは、中学校との共通理解・連携等難しい部分もあったようですが、熱い想いをもって取組を進めています。
  今では、「育ママ☆応援プロジェクト」に登録した、ママ(ママ先生)が中心となり、サロンを進めるなど、親からの面、子どもからの面の双方向からの家庭教育支援を行っている話をしていただきました。


3【講  義】     「今、家庭教育のあり方を問う」
講師 コミュニケーション・ラウンジYANO  
代表 矢野 隆子 氏
 
 講義では、教育カウンセラーの矢野先生に、「今、家庭教育のあり方を問う」というテーマでお話しいただきました。
 まず、先生のやわらかい語りかけに、「家庭教育支援をしなきゃ」と肩に力が入っていた参加者の方々が、ホッとされたような感じに見えました。
 今起きている家庭の問題である、不登校、いじめ、ひきこもり等について資料を用いてお話しいただいた後、その背景に共通する主な要因として、次の2点を挙げられました。   
 1点目は、「自尊感情の低さ」です。愛されている感、認められている感、自分は価値ある存在であるという認識は、挫折を乗り越え生きていくうえでの原動力になります。それが、現在の子ども達はもちろん、保護者も低いのです。
 2点目は、「人間関係力の低さ」です。互いの気持ちを伝え合い、共有できるような人間関係を発展させるための能力を身につける場も失われつつあります。


これらは、都市化、核家族化、少子化などの問題に起因します。
 そのような厳しい時代の中で、家庭教育支援者として大切なこととして、「傾聴すること」について話されました。
 「きく」・・聞く・聴く・訊くというように、「きく」にもいろいろあることを説明いただき、家庭教育支援者として、どんな「きく」で、家庭教育に携わっていくべきなのか、考えさせられました。そのうえで、「聴く」ことの大切さ、傾聴することで、相手のこともよくわかってくると説明いただきました。



4【情報交換】       「家庭教育支援の課題について」
進行   研修・情報室 社会教育主事
 
 KJ法的手法を用いて、「家庭教育支援の課題」をテーマに情報交換を行いました。
 話しやすい雰囲気を作るために、アイスブレイクで今の気持ちを「漢字一字」で表し、自己紹介をしました。1日研修ですので、お疲れだったのか、「疲」という漢字を選んだ方もいらっしゃいました。
 課題を付箋に書き、いざ情報交換となると、課題や地域の取組のよさなど、熱弁をふるう姿や活発な意見交換をする姿が見られました。
今回、同じ職種の方々とグループを組んだので、悩み等において共感する部分が多かったようです。また、課題解決とまではいかなかったのですが、参加者の方々の表情が晴れ晴れとして見えました。
  その証拠に、最後にA4の紙に「決意表明」を書いたのですが、みなさん前向きな言葉を書いていただきました。


 
 参加者の声
1【事例発表】「子育てサロンの取組」〜命の大切さ・親への感謝〜について
子育てサロンの開設を考えていたので、運営の仕方がわかってよかった。
子育てサロンをしていますが、スタッフの問題、学校との関わり方、課題を感じていましたので、たくさんのヒントを頂くことができました。
子どもが小さいから何もできないではなく、小さい子どもをもっているからこそできる事を考えるという発想の逆転的な考えが今の自分の仕事に役立つと考えました。
継続的ですばらしい実践に感心しました。スタッフの熱い想いが伝わってきました。WinWinの学びがすばらしい。また、学校を巻き込んだことも良いですね。
ママ先生、学校・地域・家庭が協働で取り組むことができる分かりやすいものだった。学校の理解が得られれば、どこででもできると思う。
2【講義】「今、家庭教育のあり方を問う」について
傾聴の大切さをあらためて知った。
家庭教育の在り方を最近の現状を踏まえて、わかりやすく教えてもらいました。自己肯定感の重要さを学びました。
支援的なコミュニケーション、カウンセリングマインドを大切にしていきたいです。
もう少し話を聞きたかった。時間を長くしてほしかった。(4人)
3【情報交換】「家庭教育支援の課題について」について
課題をまとめるのはむずかしいが、みんなで話している中に課題があることに気づかされた。
いろいろな職種の方との意見交換ができてよかった。
話に共感することが多かった。参考になった。
すごくわかりやすく、1時間があっという間でした。笑顔と温かい言葉かけを心がけます。
親が少し変われば、子どももかわる。親の愛情がいっぱいいる。