期 日 平成29年8月28日(月) 9:50 〜 16:00 |
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参加者 71名 |
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事業趣旨 |
超高齢社会の到来や人口減少といった喫緊の課題解消と一億総活躍社会の実現に向けて、地域コミュニティの持続と活性化を図るため、ファシリテーションやまちづくり会議の運営等において傾聴や発信の基礎となる力を育成する。
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内容の実際 |
【説 明】「まちづくり・人づくりを担う人材育成研修と本講座の位置付けについて」 |
説明者 福岡県立社会教育総合センター 研修・情報室 鍋田 涼子 |
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担当社会教育主事による事業説明 |
コミュニケーション力は、まちづくり会議やコミュニティの継続・発展において、必要なときに必要な人材とコラボレーションできる巻き込み力に大切な力の一つです。
本講座は、まちづくり・人づくりを担う人材育成研修の第2弾として位置付け、人材育成に関わる内容の理解促進と、スキルの向上を目指しております。この他には、第1弾として6月に実施した「ファシリテーション力育成講座」、第3弾として10月に実施する「まちづくりに活かす企画力育成講座」があり、3本合わせて受講していただくことにより、人間関係力のスキルアップとまちづくり会議等での運営能力のスキルアップを目指す本講座のつくりについて説明させていただきました。
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【研修1】(講義・演習)
「相手が話しやすい『きき方』」
〜関わる相手と信頼関係を築き、関係性を深める〜
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講師 組織デザイン・ラボ
ICF国際コーチ連盟プロフェッショナルコーチ 原口 祐佳 氏 |
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研修1では、講師の原口先生より、挨拶や返事の重要性及び傾聴力によって相手との信頼関係を深めていくことについて、演習を交えながら講義をしていただきました。
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原口氏による講義・演習 |
まず、人間関係を構築していく上で大切なこととして、コミュニケーションの第一歩は挨拶であること、挨拶は人間関係の潤滑油になるため、「あかるく、いつも、さきに、つづけて一言」がポイントであることを確認されました。そして、実際に受講者同士が挨拶を交わすというアクティビティを取り入れられ、場の雰囲気が一気に和むのが実感できました。返事についても、すぐに、素直に、相手を見て、心をこめて、明るく笑顔ですることで、小さな信頼感が積み重なっていき、大きな信頼感につながっていくこと、それは、たとえ内部(社内)関係者であっても、自分以外はお客様と思い、相手を思いやることによってコミュニケーションがスムーズに図れ、仕事のしやすさや職場環境の改善や質の高い仕事につながっていくことを確認されました。
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受講者同士挨拶を交わすアクティビティ |
次は、「きく」ことについての講義でした。「聞く」、「聴く」、「訊く」という3つの「きく」の意味の確認をされました。その中でも「聴く」は、耳に十四の心と書き、この「聴く」には、安心安全の場をつくり、(相手に)自由に話してもらうことにより、信頼関係を築き、関係性が深まることを押さえられました。そして、受講者のうち3名の「おはようございます」の挨拶の発声をフロアの受講者にしっかり聴いてもらうことにより、その発声からどんな感情が聴こえてきたかを当てるというワークを仕組まれました。「おはようございます」の挨拶一言から、イライラ感や楽しいワクワク感、やる気のなさ、やる気にみなぎる気持ちまで聴こえてくるということを、実感することができました。さらに、どんなときに聴いてもらえていないと感じるか、そして、どうして聴けないのかをグループで話し合うことによって、「聴かない」ことの根底にある人間の思いや感情がわかることも確認されました。『聞くことに関するアセスメントチェック』は、受講者それぞれの人の話を聞く時の状態や態度についてふり返り、気付きを促すことにつながりました。最後に、良い聴き方のポイントについておさえられた後、ペアでよく聴いてもらう、聴いてもらえない体験を入れられました。役割を交代した後、原口先生から考察の視点が与えられました。「時間の長さ」、「相手の印象」、「自分の中で起こったこと」、「自分の行動」です。受講者の皆さんは、人にしっかり話を聴いてもらうと、自分自身の中にどんどん話したいことが出てきたり、モチベーションが上がったり、考えやアイディアの整理ができたりといった、実感を伴う体験ができたようでした。
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ペアでよく聴いてもらえない体験、よく聴いてもらう体験をする受講者 |
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【研修2】(講義・演習)「相手に伝わりやすい話の構成・『伝え方』」
〜アサーションの考え方を基にして〜
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講師 福岡県立大学 人間社会学部 人間形成学科
教授 吉岡 和子 氏 |
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吉岡氏による講義・演習 |
午後からの研修2では、アサーティブコミュニケーションの概論の講義と、DESC(L)法を意識したロールプレイシナリオづくりを通して自分の意思をどう伝えるかという演習を、講師の吉岡先生に指導していただきました。
前半の講義では、アサーションを学ぶことの意義は、お互いを大切にしながら素直にコミュニケーションする方法を知り、人間関係をより深く意味のあるものにすること、また、まちづくり会議等で、創造的な対話をしていくためのツールに成り得ることであること等をお話しいただきました。そして、人の表現パターンには@攻撃的A非主張的Bアサーティブという3つのパターンがあり、受講者の表現パターンの傾向について知るワークを入れた後、アサーションのポイントについて詳しく教えていただきました。午前中の傾聴力に加え、非言語的メッセージで表現する心がけ、自分の思いを伝える際はIメッセージでその時の素直な気持ちを相手に丁寧に伝えようとすること、合意をめざすことの一連の流れを説明していただきました。さらに、問題解決をするための話合いをアサーティブにするための具体的な方法が、DESC法という手法であることについても説明いただきました。
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DESC法を使ってシナリオづくりをする |
後半の演習では、受講者の皆さんのコミュニケーションのすれ違いの実体験のふり返りをもとに、アサーションのロールプレイのシナリオづくりに取り組みました。アサーションの考え方を基にした、自分も相手もある程度納得できるやり取りにするということで、受講者の皆さんは、グループで話し合いながらシナリオをつくっていかれました。何と言ったらいいか迷う時・次に会った時に、友好的にコミュニケーションが取れるように、DESC法でセリフを準備するのですが、自分の感情(怒りの感情も含む)をマイルドに表現するということの難しさを、皆さん実感していらっしゃるようでした。
最後に、グループでつくっていただいたシナリオを3つのグループに発表していただきました。中には、ロールプレイでペアのやり取りを発表していただいたグループもあり、非常に和やかな雰囲気の中、研修会を終えることができました。
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シナリオをグループで話し合う |
ロールプレイで発表する |
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参加者の声 |
【研修1】(講義・演習)「相手が話しやすい『きき方』」〜関わる相手と信頼関係を築き、関係性を深める〜について
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● ファシリテーションの意味が今回明確になりました。先ずは人間関係づくりの第一歩が「あいさつ」と言うことも、わかっているようでしっかり自分自身の身についていませんでした。皆さんのまちづくりに対しての想いなどを、しっかりききだすこと、またつなげていくこと、そして自分自身が皆に好かれること信頼を得ることが大事なんだと思いました。 |
● 「小さい事ほど丁寧に、当たり前のことほど真剣に」という最後のメッセージは、「きき方」だけでなく、何事にも通じると思いました。まずは家から実践です。 |
● 聴く態度がとても大事だということが分かりました。相手の目を見るという事。話を聴く1分半と聴かない1分半、全く違うストレスを感じました。人の話を聴く時は、相手に興味を持って聴くという事が勉強になりました。 |
● 聴くこと、話すことがどれ程大事であるのか、講義をとおして、当たり前に感じていたことを改めて考えさせられました。 |
● カウンセリングの傾聴とビジネスにおける人間関係形成が上手に組み合わされて、より実用的な知識・スキルが身に付いたように思います。 |
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【研修2】(講義・演習)「相手に伝わりやすい話の構成・『伝え方』」〜アサーションの考え方を基にして〜について
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● お互いが納得できることを探していくことを今までやった経験がなく、DESC法を学ばせていただいて、大変勉強になりました。 |
● 相手を立てながら、自分の主張をすることにすごいエネルギーがいるなと感じました(今までの自分の伝え方にクセがあったからでしょうか)。 |
● 言い方の工夫で関係が変わってくることが実感できました。相手の気持ちになることが大切と感じました。 |
● 相手に伝えること・理解をしてもらう為には、自分の感情をコントロールすることの大切さを感じました。 |
● アサーションは、難しいですね。「Iメッセージ、素直な気持ちを丁寧に伝えようとする」心がけようと思いました。 |
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