事業報告

 平成30年度  現代的課題対応研修<まちづくり・人づくりを担う人材育成研修>

まちづくりに活かすファシリテーション力育成講座

 
 期 日  平成30年5月31日(木) 9:50~16:00
 参加者   54名
 事業内容
 超高齢社会の到来や人口減少といった喫緊の課題解消と一億総活躍社会の実現に向けて、地域コミュニティの持続と活性化を図ることを目的とし、地域における社会参加活動を促進する人材の育成や、研修参加者の地域における協働の取組を促進する手法としてのファシリテーション能力を育成する。
 内容の実際

【説明】「現代的課題対応研修と本講座の位置付けについて」

説明者 福岡県立社会教育総合センター 研修・情報室 野村 美穂
 3年目を迎えるこのまちづくり・人づくりを担う人材育成研修は、現代的課題に対応するために地域人材を活用することの必要性を認識し、地域課題の解消に向けて行動する意欲を育むとともに、地域活動や主催する研修会等でのスキルの向上を目的としています。
 平成29年「学びを通じた地域づくりに関する調査研究協力者会議(論点の整理)」において、住民の主体的参画による持続可能な地域づくりを行うために、地域課題解決型学習の位置づけが明確化されました。社会教育に求められている、①地域課題解決を住民の自主的な活動につなげていくこと ②住民同士が地域コミュニティの将来像や在り方を共有することについて、説明しました。

【研修1】(講義)「組織や地域人材の協働を活性化するファシリテーションとは」

講師 NPO法人日本ファシリテーション協会 フェロー
  国立大学法人九州大学大学院 統合新領域学府 客員准教授   
  ホワイトボード・ミーティング🄬認定講師  加留部 貴行 氏 
 研修1では、講師の加留部先生から、組織や地域人材の協働(共働)を活性化するための、会議の場で活かすファシリテーションについて講義していただきました。
 まず、ファシリテーションについて①より良い「交換」が生み出すもの ②ファシリテーションとは ③ファシリテーターという存在 ④プロセスを活かすファシリテーション の4つの項目で話していただきました。ファシリテーションの語源は、「ファシル」で、これには「容易にする」「~しやすくする」という意味があります。すなわち、ファシリテーションとは、「支援し、促進し、円滑にする」ことであり、ファシリテーターとは、支援者、促進者です。そのために、中立な立場で、チームのプロセスを管理し、チームワークを引き出し、そのチームの成果が最大となるように支援することが求められると話していただきました。


【研修2】(演習)「ホワイトボード・ミーティング®」

講師 NPO法人日本ファシリテーション協会 フェロー
  国立大学法人九州大学大学院 統合新領域学府 客員准教授   
  ホワイトボード・ミーティング🄬認定講師  加留部 貴行 氏 

 午後からは、演習を中心に、ホワイトボード・ミーティング®を進めていただきました。ホワイトボード・ミーティング®は、会議が元気になるためのツールです。「元気になる会議」にするためには、良好なコミュニケーションと学び合う関係があることが大切です。そこで、ます、上手に聞き合う練習として「ペア・コミュニケーション」を行いました。初めて会った方々がほとんどでしたが、午前中の講義の最中から、「今までのことについて、お隣の方と話してみてください」と、コミュニケーションタイムを先生が意識してとられていたので、和やかに進めることができていました。
 この講座は、「ホワイトボード・ミーティング®」という技能を身に付けることが目的ではなく、会議等において一人ひとりの力がいかされる「元気になる会議」を広げ、人やまちを元気にしていく人材を育成することを目的としています。そのためには、人間一人ひとりが本来持つ力を発揮して生きる「エンパワメント」と私たちが所属する集団が、「エンパワメントなチーム」であることが、とても大事であると強調されていました。


【ペア・コミュニケーション】 【素早く書く練習:先生が歌う歌を書いています。】


【ホワイトボードの使い方をレクチャー】
【ホワイトボードを見ながらシェアリング】

 次に、ホワイトボードに書く練習を行いました。加留部先生が歌う童謡「うさぎとかめ」を素早く書き取っていきます。早く書くことがポイントなので、ひらがなでも構いません。ここで、「なぜ、ホワイトボードなのか。模造紙を壁に貼ってはダメなのか?」がわかります。間違えても、指先でサッと一拭きです。記録が残らない・・・そんな心配はありません。今は、デジカメでもスマホでもサッと撮って、後からいつでも見返すことができるのです。
 次に、ホワイトボードの使い方を教えていただききました。基本4人で行うため、4分割し、一つの枠の①中央 ②左上 ③左下 ④右上 ⑤右下の順で書いていきます。その時の、ファシリテーターの魔法の言葉が「質問の技」です。9つのオープンクエスチョンと、8つのあいづちで会議を行います。
 これらを使って、いよいよ会議です。まずは、一人ずつ「最近がんばってること」を話してもらいました。ファシリテーターが、前述の魔法の言葉を用いて、参加者(サイドワーカー)の考えを引き出していきます。いつ、どの言葉を使えばいいのか、戸惑い、なかなか進まない場面も見られましたが、ホワイトボードにはしっかりと記録されていました。
 参加者の方が熱心で、先生も丁寧に進めていただき、わかりやすい演習となりました。





参加者の声  
 
 【研修1】(講義)「組織や地域人材の協働を活性化するファシリテーションとは」について
ファシリテーションはひとりの個人プレーではないという言葉が胸に刺さりました。
まさに、公民館は街づくりのファシリテーターであることを再認識。
参加する側でいたのが、主催でする側になり、いろいろと見えた気がしました。
良い進行役だけではなく、良い参加者になろうと思いました。会議の結果をどうフィードバックし、実行していくのかの工夫が今後の私自身の課題です。
ファシリテーションをスキルととらえがちですが、やりかたよりもまず「何のために」が大事だと分かり、とてもスッキリしました。
普段やっている気になっていても、今日のお話をきいて、自分自身のファシリテーション意識や働きかけ方、準備など工夫が必要だと感じた。まずは、私の意識の改善が必要だ。ツールの準備や発言のうながし方、〇〇しやすい環境作りなど、持ち帰って実践したい。
目的や目標の共有など、そもそもファシリテーションとは何かを学べた。
今回改めて会議のもつ意義や影響などを感じた。時間の大切さやコミュニケーションの必要性も大事であった。
掘り下げていく質問の仕方、その質問によりコミュニケーションの内容が深まることが参考になった。
   
 【研修2】(演習)「ホワイトボード・ミーティング®」について
相手がどう話を引き出すのか、話をまとめやすいように的を絞った質問をするためには自身のスキルとコミュニケーションが必要だということ、また、答える方も理解しやすいように伝えるコミュニケーションが必要だと実感しました。
聞き取り、まとめの大切さをあらためて確認し、実行に向けて動かなければと思いました。
可視化は大切ですが、難しいなと思います。でも、がんばって取り入れたいです。
実際にやってみると、一人との対話でも掘り下げる難しさ、話すスピードと書くスピードの差などなかなかうまくいかないなぁと感じました。
ホワイトボードを利用することで、ミーティングの参加者の日頃考えていることがわかってよかった。
実際にやってみて、話を聞き取るポイント・ストーリーを感じことができた。
時間管理が難しかったですが、考え方の違い、理解の仕方に違いがあることが参考になりました。
会議の進め方が言語化され、整理されていて、改善点が見つかった。
たった9つの質問で、皆さんの考えや想いが感じられる。職場でもぜひ挑戦したい。
   
 3 講座全体を通じてのあなたの満足度は(期日や日程を含めて)
とてもわかりやすく、去年受講したコミュニケーション力・企画力講座にも通ずるものがあり、実践に向けて生かせそうな気がしています。
今の自分に足りないもの、そのものだったので、受けてよかったです。
ファシリテーションについて、職場でも使えそうなホワイトボードミーティングというスキルを聞けてよかったです。
帰って、公民館でもやってみたい(ホワイトボードミーティング)。
現在自分が行っている業務は、色々な組織の方と関わることが多いので、もっともっと“聴(ゆる)す”体制を持たねばと思いました。次も参加したいです。
ホワイトミーティングの技法だけでなく、いろいろな方の話を聞けてよかったです。
日頃、実践実践でやってきたものに理論がついてきて、納得感がでてきてよかったです。