事業報告

 平成30年度  現代的課題対応研修<まちづくり・人づくりを担う人材育成研修>

まちづくりに活かす企画成力育成講座

 
 期 日  平成30年10月11日(木) 9:50~16:00
 参加者   49名
 事業内容
 超高齢社会の到来や人口減少といった喫緊の課題解消と一億総活躍社会の実現に向けて、地域コミュニティの持続と活性化を図ることを目的とし、まちづくりプランの作成や人材育成プランの作成に関わる企画・立案のスキルを身につけるとともに、専門職員としての資質の向上を図る。
 内容の実際

【説明】「現代的課題対応研修と本講座の位置付けについて」

説明者 福岡県立社会教育総合センター 研修・情報室 社会教育主事

 3年目を迎えるまちづくり・人づくりを担う人材育成研修は、現代的課題に対応するために地域人材を活用する必要性を確認し、地域課題の解消に向けて行動する意欲を育むとともに、地域活動や主催する研修会等でのスキルの向上を目的としています。
 平成29年の「学びを通じた地域づくりに関する調査研究協力者会議(論点の整理)」において、住民の主体的参画による持続可能な地域づくりを行うために、地域課題解決型学習の位置づけが明確化されました。その中で、社会教育に求められていることとして①地域課題解決を住民の自主的な活動につなげていく必要性 ②住民同士が地域コミュニティの将来像や在り方を共有する必要性の2点が挙げられています。そこで、この講座のねらいとして、人々の学習活動を組み立てて形にしていく「学びのオーガナイザー」として、対話を通して、①自身が企画をつくる、②住民が主体的に取り組んで企画をつくるの2点を確認しました。

【研修1】<講義>「自分たちで『暮らし』をつくる」
          ~「地域デザインの学校」を事例として~

講師 NPO法人 ドネルモ 代表理事 山内 泰 氏

 研修1では、講師の山内先生から、現代的課題である超高齢社会において、これからの暮らしをどうつくるのかをミッションに活動しているたくさんの事例を紹介いただきました。主に、住民主体の活動が生まれる場づくりを通して、地域の「支えあいのかたち」を豊かにすることを目的とした「地域デザインの学校」の取組でした。この取組は、参加者の「住民をいかに巻きこむか」「協働するためには」といった課題を解決する参考となるものとなりました。
 課題を解決するために最も大切にしていることが「対話」です。気兼ねなく話をし、何か始めるきっかけを探すつながりをつくり、実際に何かを始めてみるといった「学びあいと実践の場」を作っていることを話していただきました。
最後に、参加者に、当事者性(自分ゴト)に導くために、教育ではなく、学習を支援する「学習支援者」になってほしいと伝えられました。あくまでも活動する主体は学ぶ人(住民)であり、本講座の参加者には、答えを教えるのではなく、「やってみよう!」と思ってもらう、当センターで言う「学びのオーガナイザー」を目指してほしいと伝えられました。


【研修2】<演習>「『できるかも!』を醸成していこう」

講師 NPO法人 ドネルモ 代表理事 山内 泰 氏

 午後からは、企画を立てるときに大切にする点と企画をたてる手順を説明していただき、例題(乳がん検診を地域でひろめるために)に基づいて企画立案の体験(ケーススタディ)を行いました。
 まず、参加者は、例題の望ましくない状況「乳がん検診の受診率の低さ」に対する、現状や将来像を個人で黄色い付箋に書き出し、グループで交流していきました。対話をしながら付箋を似ているものに分類していきましたが、この「対話」がとても大切で、十分に時間を確保して行いました。この活動を「問題分析」と言い、これを行うことで、たくさんある現状の問題が分類でき、乳がん検診を受信しなかった場合の将来の問題まで考えることができました。
 次に、例題の望ましくない状況を「乳がん検診に行くようになる」と望ましい姿に転換させ、学校とコラボしていくなど、具体的なアプローチの方法を考え出していきました。これを「目的分析」と言い、課題が書かれた付箋の上に、考えた解決策を貼っていきながら、整理することができました。
 最後に、企画を深めていく段階において、ビジョンと目標を練り上げていく大切さについてお話しいただきました。そのビジョンの実現はなぜ大切なのか、大切なはずなのに、現状でなぜ実現されていないのか、本当に自分がやりたいものになっているのか、人を巻きこんでまでやりたいと思っているのかなど、自分、周り(住民)と対話しながら企画を練り上げていくことの大切さを講義いただきました。


参加者の声  
 
 【研修1】<講義>「自分たちで『暮らし』をつくる」
                    ~「地域デザインの学校」を事例として~
地域活動に関わりの薄い層からの参加が多かったということを聞いて、どのような仕掛けがあるのだろうかと気になったが、広報の仕方と回答いただき、広報(チラシデザイン・キャッチコピー)の大切さを認識できました。
課題から考えることが多く、こうあるべきと地域の人たちと話していたが、ビジョン追求型の手法を活用していきたいと思いました。
学習支援者の役割、とても大切だと思いました。
多様な人を取り込む、自分ごとと思ってもらう、リーダー不要、継続しなくて良い等、目からうろこでした。
これまで、リーダー育成の方ばかり言われていて、自分でできる人材を育てることばかりでしたが、近年、対話や協働の中でだれかと一緒に何かをする人材を育てるというところが一番心に残りました。
   
 【研修2】<演習>「『できるかも!』を醸成していこう」
グループごとに話して、他のグループに回って意見を聞いたが、様々な意見が出ていて多様な人との話し合いの大切さを実感できました。
ワークグループの進め方や注意点など実際に体験しながらできたので身についたと感じます。
講座の企画の手段や、さらに、深めるための考え方はとても参考になりました。ビジョンがぶれないということの大切さも改めて認識しました。公民館の職員さんはまず、背景と課題を見つけることからビジョンをたてるまでのステップにとても苦労しています。学習支援者として、さらに自分自身の学びを深めたいと思います。
「やりたいこと」をかたちにする、で、ビジョンを一番に共有し、軸として不動のものとすることを確認することができました。
問題分析、目的分析のフェードアウトについて知ることができたので業務に活用したいです。
   
 3 全体を通して
成功例だけでなく、失敗例もきちんと報告していただいたのが、ためになりました。
対話、やりたいことをつなげ、場づくりを地域でやってみたいと思いました。つながることで、新たな地域の力になると思いました。
一日かけるに適切なボリューム、内容の研修で、参加して良かったと思いました。
もっともっと実務的なことを学びたいと思いました。後半の後半の部分が濃縮されてとても良い内容でした。
まちづくりの研修はなかなかないので、今後もぜひ続けて欲しいです。
   
 【各グループが行った問題分析・課題分析】
   
【Aグループ】  【Bグループ】  【Cグループ】  
【Dグループ】   【Eグループ】  【Fグループ】
 【Gグループ】 【Hグループ】   
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