(平成23年度)
  7.英彦山歴史・文化探訪
○ 期 日
 平成23年10月15日(土)〜16日(日) 1泊2日

○ 参加者
 9名

事業目的及び内容
 「英彦山歴史・文化探訪」は、英彦山の歴史的・文化的価値を知ることで、英彦山への興味・関心を高めていただくとともに、参加者の方々のさらなる学習意欲の向上へとつなげることを目的とした事業です。今回は、日田が生んだ学聖廣瀬淡窓の足跡に焦点を当て、廣瀬淡窓と関わりのある英彦山及び日田の名所や史跡巡りを中心の活動として実施しました。
10月15日(1日目)
講演「幕末の英彦山と日田」 
 英彦山神宮参集殿で出会いのつどいを終えた後、添田町教育委員会文化財係長 岩本 教之 氏を講師にお招きし、「幕末の英彦山と日田」の演題でご講演いただきました。当時、英彦山と日田をつなぐ主要道であった岳滅鬼峠の話や、幕末の動乱期に討幕運動に関わった十一人の英彦山山伏が悲運な最期を遂げたことなど興味深い話をたくさん聴くことができました。
出会いのつどいの様子 講演会の様子
講演を真剣に聴く参加者の皆さん 貴重な仏像も見せていただきました。

史跡巡り
 午後は、添田町観光ガイドボランティアの松養 榮貞さん、上原 明美さんの案内のもと、英彦山神宮表参道周辺の史跡巡りを行いました。奉幣殿から出発し、約3時間かけて廣瀬淡窓詩碑、修験道館、招魂社、顕揚坊、長三州塾跡等、表参道に残る貴重な文化遺産を見学しました。途中雨に降られましたが、雨宿りをさせていただいた松養坊で、普段見ることのできない松養坊邸内の貴重な資料等も見せていただき、参加者の方々も大満足の様子でした。
淡窓詩碑を見学する参加者の皆さん 招魂社にて十一義僧の墓を見つめる参加者
松養坊内も見学させていただきました。

奉幣殿前にて記念撮影!
※クリックすると大きくなります。

俳句交流会
 夜は、参加者相互の交流を深めることを目的として俳句交流会を行いました。午前中の講演や午後の史跡巡りをとおして思ったことや感じたことをもとに、参加者の方々に俳句を作っていただきました。みなさん頭を悩ませながらも、いい作品を作ろうと熱心に俳句作りに取り組んでいました。できた作品を紹介し合い、よいと思う作品にそれぞれが投票して、得票を競い合うという句会形式で会を進めていきました。俳句を作るのが初めてで、交流会に消極的だった参加者もいらっしゃいましたが、自分の作品に票が入るととても嬉しそうな表情を浮かべていました。句会をとおしてそれぞれの参加者の思いにふれるとともに、参加者同士の会話もさらに弾むようになり充実した楽しい交流会となったように思います。
  参加者の方の作品
    「霧襖(きりぶすま) 開けば神の 声あまた」
    「初もみじ 微笑こぼれる 岩窪み」
    「霧冷えは 比古(ひこ)の天狗の 聲つつむ」
    「ヤッホウー 秋の一日や 英彦の峰」
    「早紅葉 山伏となり 古希(峠)越え」
    「神仏に 分けへだてなし 秋霧ふる」
    「一山を 越え来て母なる 碑に会える」
    「秋雨に こけむす英彦山 歴史跡」

俳句交流会の様子

お一人ずつ自己紹介をしていただきました。

俳句を作成中@ 俳句を作成中@
10月16日(2日目)
史跡咸宜園跡見学
 2日目は、バスで日田市へ移動し、史跡咸宜園跡を見学しました。「秋風庵」内で咸宜園の教育についてや廣瀬淡窓及びその門下生の人柄についても詳しく話を聴くことができ、咸宜園での取り組みや創立の理由などについて理解を深めることができました。また、咸宜園の塾舎である「秋風庵」や書斎「遠思楼」などの建物が良好に保存されており、塾生でにぎやかだったであろう当時を偲ぶことができました。
見学前にまずはDVDで学習を! 咸宜園の塾舎「秋風庵」
秋風庵内で咸宜園の教育について
話を聴きました。
淡窓の書斎「遠思楼」
落款(らっかん)作り
 咸宜園教育研究センターで“塾生体験”として落款作りをしました。土台の消しゴムに鉛筆で自分の名前を書き、それを彫刻刀で彫っていきます。名前の字体を工夫したり、イラストを入れたりしてオリジナルの落款を作りました。最後に、自作の俳句を書いた短冊にオリジナルの落款を押して作品完成です。参加者の皆さんもいいお土産ができたと大喜びでした。 
落款を作成中! 立派な落款ができました!
自作の俳句にできたてほやほやの落款を押して記念撮影!
 

○ 参加者の声
・松養坊訪問は初めてで、坊での生活がよく理解できました。英彦山を再発見することができました。
・句会の経験は初めてでした。句の奥深さを痛感しました。よい経験ができました。
・淡窓さんの名前は聞き知っていましたが、今回の企画に参加して、より詳しく知ることができ、よかったと思います。
・史跡巡りをして英彦山の歴史的価値を知ることができました。まだまだ知りたいので、また機会があったら参加したいと思います。
・句会や交流会でいろいろな立場や世代を越えた交流ができてよかったです。
・日田には何度も来ましたが咸宜園の見学は初めてでした。とてもよかったです。
○ 全体をとおして
 今回の「英彦山歴史・文化探訪」は、廣瀬淡窓の足跡に焦点を当て、淡窓と英彦山の関わりをとおして、英彦山の歴史的価値を再発見していただくことを第一の目的として企画しました。講演会では、山伏の師弟達が高杉晋作ら幕末の志士達と共に行動し、明治維新に貢献した話など貴重な話を聴くことができました。また、英彦山神宮表参道では、討幕運動に加担した罪で無念な死を遂げた山伏たちの墓石を実際に目の当たりにすることができました。これらの活動を通して、参加者の皆さんは英彦山の歴史の奥深さを実感できたようです。「もっと英彦山の歴史について知りたい」「また機会があったら参加したい」と参加者の声にあるように、今回の企画が、今後の学習意欲向上につなげられたことも大きな成果ではないかと思います。
今回は参加者が9名と少なかったのはとても残念でしたが、その分、俳句交流会で十分な交流時間が持てましたし、参加者同士及び参加者とスタッフ間でたくさん話もできました。立場や世代を越えた仲間作りのよい機会となったのではないかと思います。