平成24年度
  1.英彦山環境ボランティア研修Ⅰ
 
期 日  平成24年6月9日~10日

参加者 19名

プログラム
 第1日目【6月9日(土)】
 時  間 活 動 内 容 
11:00~11:15  開講式
11:15~12:00 講話「英彦山の自然観察」
 講師:福岡県環境教育アドバイザー 熊谷 信孝 氏
○英彦山の成り立ちや植生の特徴について話を聴く。
 
12:00~13:00 昼食
13:00~16:30  実習「英彦山の自然観察」
 講師:福岡県環境教育アドバイザー 熊谷 信孝 氏
○英彦山に生息する植物の観察をする。
 
17:00~18:30 入浴 
19:00~20:00 講話「英彦山の野鳥」
 講師:日本野鳥の会特別会員 鐘ヶ江 勝實 氏
○英彦山で見られる野鳥や野鳥観察の仕方について話を聴く。
20:00~21:30 交流会
○互いに自己紹介し合いながら、参加者同士の交流を深める。
21:30~ 就寝準備・就寝

第2日目【6月10日(日)】
 時  間 活 動 内 容 
6:00~7:30 実習「英彦山の野鳥観察」
 講師:日本野鳥の会特別会員 鐘ヶ江 勝實 氏
○英彦山で見られる野鳥を観察する。
7:45~9:00 朝食
9:00~11:30 実習「間伐・森林整備体験」
 講師:添田町林業指導者 森 功二郎 氏  宮田 孝男 氏   鐘ヶ江 勝實 氏
○木の伐採や倒木処理を体験し、森林整備の大切さを実感する。
 
11:50~12:30  講話「生物多様性と私たち」
 講師:福岡県保健環境研究所 専門研究員 須田 隆一 氏
○森林の役割と生物多様性についての話を聴く。
 
12:30~13:00  昼食 
13:00~15:00 実習「間伐材クラフト」
○間伐材を利用して、バードコール・焼杉作りを体験する。
15:00~ 閉講式

活動の実際

【6月9日(1日目)】
 講演・自然観察実習「英彦山の自然観察」
 開講式を終えた後、講師としてお招きした福岡県環境教育アドバイザーの熊谷信孝氏から「英彦山の自然観察」についてご講演いただきました。英彦山の成り立ちや植生の特徴についての話や、平成3年の台風により被害を受けたブナ林を再生するための取組の話など、興味深い話をたくさん聴くことができました。
 また、講演の後には、英彦山北岳中腹まで自然観察に出かけました。講演で聴いた英彦山特有の夏緑樹林帯(ブナ帯)の植物や岩角地植物群落、県内唯一の原生的なシオジ林等を実際に目の当たりにし、英彦山の自然の豊かさを実感することができました。
↑開講式の様子 ↑講演の様子
↑植物観察の様子 ↑高住神社で記念撮影!
※クリックすると大きくなります
参加者の声
・地元の植物、動物、自然などをもっとよく知りたいと思いました。この豊かさの中にいると、これが普通に思ってしまいがちですが、学ぶことで保護の意識も生まれると思いました。
・英彦山には、たくさんの植物があり、いろいろな野鳥もいて、とても豊かな自然環境であることを再確認できました。特に、北岳のブナは何とか再生しないといけないなと思いました。
 
講演「英彦山の野鳥観察」
 夜は、講師としてお招きした日本野鳥の会特別会員の鐘ヶ江勝實氏から「英彦山の野鳥」についてご講演いただきました。写真をスクリーンに映しながら、この時期の英彦山でみられる野鳥の特徴を説明していただいたり、双眼鏡の使い方や観察時のマナーなど、実際に野鳥観察をする上での大切なこともたくさん教えていただきました。翌朝の野鳥観察への意欲をさらに高めることができました。
講演の様子 双眼鏡を使う練習をする参加者の方々
《6月10日(2日目)》
実習「英彦山の野鳥観察」
 2日目は、早朝6時より野鳥観察を行いました。昨夜に引き続き、日本野鳥の会特別会員の鐘ヶ江勝實氏にご指導いただきました。ツツドリやカッコウ、アオバトなど英彦山を代表する夏鳥はもちろん、英彦山でもなかなか声を聴くことができないアカショウビンやトラツグミの声も聴くことができました。約1時間半の短い実習時間でしたが、鳴声を聴いたり、姿を見ることができた鳥の数は全部で17種にも上りました。
   
野鳥を探す参加者の方々 あっ、ホオジロ発見!
 野鳥観察を体験するのは初めてだという方がほとんどでしたが、「日頃できないよい経験ができた」「野鳥の数の多さに英彦山の自然の豊かさを実感した」と満足された様子でした。
参加者の声
・去年の2回目から、このボランティア活動に参加していますが、今回は英彦山の植物や野鳥について知ることができてよかったです。また、日本や英彦山の森林の問題や現状について知ることができて活動の必要性を知ることができました。
・英彦山に来ていて鳥の声に気付かずにいましたが、今回の研修により早朝から鳥の姿、声に注意す
るようになりました。今後、自宅の周りの鳥達にも気を配りたいと思います。

実習「間伐・森林整備体験」   
 2日目の午前中は、青年の家の前にある杉林で間伐・森林整備活動を行いました。講師には、地元添田町の林業指導者である森功二郎氏をお招きし、ご指導いただきました。実際に、参加者の皆さんにも、チェンソーを使って倒木の枝打ちをしたり、幹を丸太状に切ったりする作業を体験してもらいました。初めてチェンソーを使うという方も多く、最初は不安そうな表情を浮かべている方もいましたが、講師の先生方が横について、優しく教えてくださったお蔭で、皆さんケガをすることなく安全に活動することができました。また、枝打ちした後の枝処理の作業も同時に行いました。予想以上に大変な作業で、汗だくになりながらの活動となり、間伐作業の大変さを実感しました。
 ↑間伐の意義についての
説明を聞きました。
↑ 講師の先生による
デモンストレーション
↑チェンソーの使い方を
教えてもらっています。
 ↑チェンソーで枝切り体験に
挑戦!
 参加者の声
・間伐体験など普段できない体験をさせてもらい、間伐作業の大変さを知りました。また、今回の研修をとおして、ただ単に、たくさん木を植えるとよいということではないことが分かり勉強になりました。
・間伐後の日光が当たっている杉林を見て森林整備の大切さを実感しました。今回の研修をとおして、環境に対しての現状を知り、危機感を感じました。家でも環境を考えた生活をしなければならないと思いました。
・森林を大切にすることが、人間に多くのうるおいを与え、地球全体に及ぼす影響も大きいので、これからの日本の大きな課題だと実感しました。


 実習「間伐材クラフト」
   最後の研修は、間伐材を使ったクラフト活動を行いました。杉の枝を使って作る鳥笛「バードコール」と杉丸太を切って焼き目をつける「焼杉」作りに挑戦しました。作品に念入りに紙ヤスリをかけて磨いたり、ペイントを施したり、思い思いに工夫を凝らしながら、熱心にクラフト活動に取り組む姿が見られました。
 
↑協力して丸太切りに
挑戦しています。
↑杉板をガスバーナーで
焼いています。
↑枝にドリルで穴を開けて、
バードコール作りをしています。
↑最後にみんなで記念撮影!
※クリックすると大きくなります。
参加者の声
・杉から、バードコールや鍋敷き、コースターなど普段の生活で使えるものが作れるので、もっと多くの人に知ってもらって、間伐材を利用してもらいたいなと思いました。
・今回の研修に参加して、環境によいことをしているという実感がありました。このような活動が多くの場で行われるようになるとよいと思います。
・実際に参加してみて、ハードでしたが、貴重な体験ばかりで自然を体全体で感じることができ、なんだか心がスッキリしました。また、様々な年代の方々と一緒に体験ができたので、いろんなお話ができたりと、とても楽しめました。

全体をとおして
 今回の「英彦山環境ボランティア研修Ⅰ」では、まず参加者の方々に英彦山の自然環境を知っていただくために、英彦山の植物・野鳥に関する講話や観察実習の活動を取り入れました。なかなか普段見られない植物や野鳥を目の当たりにし、英彦山の自然の豊かさを再認識するとともに、私たちの身近な生活環境にもいろいろな動植物が生きていて、その動植物に対する配慮が必要であることに気付かされました。また、間伐・森林整備体験では、林産業の一端である間伐作業を経験しました。汗だくになりながらの大変な作業でしたが、間伐を行った林の中に明るい光が入るのを見て、環境保全につながっていることに達成感を感じるとともに、間伐作業の必要性を改めて実感した参加者の方も多かったようです。この英彦山環境ボランティア研修は引き続き、10月に研修Ⅱ、12月に研修Ⅲを実施します。次回の研修Ⅱでは、講演や間伐材を利用したクラフト等の活動を行います。さらに環境保全についての理解を深める研修となるよう内容の充実を図っていきたいと考えています。多くの方の参加をお待ちしています!