子ども体験事業「わくわくチャレンジ隊」
〜わくわくプレーパークにチャレンジ〜
頴田公民館では平成11年度から子ども会指導者連絡協議会と協働し、「地域の人・もの・こと」を活用して、子どもたちに豊かな体験機会を提供し、「生きる力」を養うことをねらいとして「わくわくチャレンジ隊」という子どものための体験事業を行っています。年間を通して月1回のペースで開催しているのですが、今回はじめてプレーパークに取り組みましたので、レポートします。 |
@インリーダー講習会に参加した子ども達が地域で活躍する場を作りたい。 (今回は英彦山で学んだピザ作りを地域の子どもたちに教える場) |
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【インリーダー講習会】 毎年1回小学4年生〜中学生を対象に実施する1泊2日の講習会。日頃できない直接体験を通し、自主性、創造性、協調性を養い、心豊かにたくましく生きることのできる資質や能力を育成するとともに、社会参加および地域におけるリーダーとしての活躍・活動を促進することを目的とする。 今年度は7月に34名の子ども達が英彦山青年の家で研修をし、仲間との集団生活を送りながら、フィールドビンゴやキャンドルのつどい、ピザ作りなどの体験をしました。 |
A遊びを通して子どもたちの人間関係能力や自主性・自律性、思いやりの心などをはぐくみたい。 | |
「わくわくチャレンジ隊」では伝統文化、スポーツ、食、ボランティアなど、さまざまな分野の体験の機会を提供しながら、子どもに必要な資質・能力を育もうとしています。中でも「遊び」体験は子どもにとって人間関係能力や自主性・自発性、思いやりの心などを育む重要な役割を果たすと考えます。自由な遊びが保障されている空間を作り、子どもたちの体験の幅を広げたいと考えました。 |
B『はじめのいっぽ第2弾!〜プレーパーク編』冊子編集委員会との協働 | |
「ふくおかボランティア活動支援事業実行委員会(福岡県立社会教育総合センター内)」が10月に『はじめのいっぽ第2弾!〜プレーパーク編』という冊子を発行します。わくわくチャレンジ隊担当者がその冊子編集委員でもあるというつながりから、編集委員会との協働で「公民館でのプレーパーク」を開催し、冊子の中で実践事例として紹介することとなりました。 |
■草刈り | |
プレーパークの場所は公民館前の遊具も何もない広場。水道が利用でき、プレーパークを開催するには恵まれています。ただ、雑草が伸び放題で、普段子ども達が遊ぶ姿はほとんど見られないのが現状でした。 そこで、準備はまず一面に伸びた雑草を刈ることから始まりました。公民館職員4名とボランティア2名で、2台の草刈り機と鎌を駆使して草刈りにとりかかりましたが、広場一面の雑草を刈るのは容易なことではなく、午後から夕方まで全員汗だくで作業して、ようやく荒刈りができました。その後、日を改めて、芝刈り機械で全体をきれいに刈り取り、ようやく場所の準備ができました。 |
■ブルーシート | |
開催2日前、今回協力してくれるプレーリーダーのお二人が会場の下見に来られ、広場にある斜面を見ながら「この斜面にブルーシートを敷いて、上から水を流すとウォータースライダーになって楽しいですよ〜。」と一言。そこで急遽ブルーシートを準備することになりました。 |
■ダンボール・木切れ |
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自由遊びの中にダンボールや木切れでの工作を取り入れようと、材料であるダンボールを頴田病院、大型電気店、スーパー、ディスカウントショップなどを回って大量に集めました。 木切れはピザ釜のたき木と共に、子ども会の会長が手配。道具のかなづち、のこぎり、くぎ、ハサミ、ガムテープなどは公民館にあるものを使うことにしました。 |
■ピザ釜 | ||
ピザ釜に必要なのはレンガと鉄板、ピザを出し入れする長い取っ手のついたヘラ。これらの道具は、他地区の子ども会(稲築・筑穂)から子ども会会長を通じて借用しました。 |
■ブルーシート | |
今回のピザ作りでは、トッピングの材料を各自持参にしていましたが、生地の材料やスタッフのトッピングは主催者側で準備しました。その費用は子ども会指導者連絡協議会から支出し、事前の買い物も子ども会の役員さん方が担当してくれました。 |
■準備 | ||
インリーダーの子どもたちは開催の1時間前に集合し、公民館から机やレンガ、ダンボールなどを運び、会場の準備をしました。 | ||
■ダンボール遊び | ||
ダンボールが広場に広げられると、開始時間を待たずさっそく「これ、どうするん?」と周りに集まってくる子どもたち。広場には日かげらしい日かげはありません。「暑いね!日かげでも作ろうか?」というプレイリーダーの一言に即反応した子どもたちは、ダンボールをガムテープで張り合わせ、どんどん家のようなものを作っていきました。ぺったんこのダンボールをそのまま使う子もいれば、箱に組立てて使う子もいて、いろんな工夫をしているなぁと関心しました。 開始時間になり、スタッフとインリーダーの紹介をして、いよいよ「わくわくプレーパーク」の始まりです。 |
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■ビザ作り&斜面でウォータースライダー | ||
まずは全員で、お昼に食べるピザ作りにとりかかります。材料を量り、ボウルに入れてまぜていくと、ベタベタの生地がだんだんまとまってきます。それをよくこねて、なめらかになったところでラップをかけて発酵させます。そのときに自分のものと分かるよう、それぞれが葉っぱなどで目印をつけておきました。 インリーダーの子どもたちはピザ釜作りとまき割りの作業です。さすがに一度体験しているだけあり、英彦山での講習会で習ったことを思い出しながら慣れた手つきでまきを割っています。その姿が少し頼もしく感じられました。 生地が発酵するのを待つ間に、斜面にはブルーシートが張られていました。ロープを通した両端を木にくくりつけ、間をペグで打ち付けてシートを固定します。滑り降りたところにちょうど溝があり、危険が予測されたため、その溝にダンボールを詰め、上に板を置き、その上にブルーシートをかぶせる工夫をしました。 そして、ホースで上から水を流します。最初は「水は流さんでいい。」「汚れる。」と言いながらダンボールの上に乗って滑っていた子ども達が、プレイリーダーの声かけ(「いっしょに滑ろうよ!」)で1人、また1人と洋服のまま水の流れる斜面を滑り出しました。一度覚悟を決めて滑ってしまえば、2回目からはどんなに濡れても汚れても平気のへっちゃら!どんどん子ども達が集まってきて、次から次へ滑り出しました。途中下にたまった水をモップで拭いたり、ホースを持ってみんなに水をかける役割を自分から買って出る子も現れ、大きな歓声が上がりました。水しぶきと一緒に子ども達の笑顔も太陽にキラキラ輝いていました。 遊んでいる間にピザ生地が発酵したので、各自好きな食材をトッピングして、オリジナルピザを作りました。それを手作りのピザ釜に入れて焼きます。次々に焼きあがるピザを子どもたちはさっそく自分で作ったダンボールの家に持ち込んで、美味しそうに食べていました。 |
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■ゴムとび | ||
食事のあいだもスライダー遊びは何度も何度もあきることなく続きます。大きい子達が楽しそうに遊ぶのを見ながら、小さい子や女の子たちは、「やりたいけど入れない・・でもやってみたい・・」とうらやましそうな表情。そんな時、プレーリーダーの古賀さんがさりげなく輪ゴムを持ち出し、つなぎ始めました。長く長くつながっていく輪ゴム。女の子達がそれをまねして作り始めます。一人一人のつなげたゴムを互いにつなぎあわせると長い長いゴムとびができるゴムができあがりました。 それをつかってさっそくゴムとび開始です。最初は低く、だんだん高く。女とび、正面とび、いろんなとび方でクリアしていく子どもたち。どんどん盛り上がってきたところに、スライダーで遊んでいた男の子達もやって来ました。高学年の男の子の飛び方はダイナミック。迫力があります。 そうやって今までスライダーで遊んでいた子がゴムとびに移ったことで、スライダーがしたくても一歩引いていた子ども達にチャンスが回ってきました。めでたくスライダーにたどりついた小さな子ども達も、びしょぬれになりながら心ゆくまでスライダーを楽しんでいました。 思い切り遊んだあとは、子どもたちや保護者の方々と一緒に片付けをして、プレーパークは終了しました。すり傷程度のケガはありましたが、大きな事故もなく、スタッフはホッとしました。遊びに夢中になっている子ども達の輝く笑顔を見ることができ、大人も元気をもらった1日でした。 |
今回、プレーリーダーとして古賀彩子さん(福岡プレーパークの会)、那須きよみさん(まえばる遊び場ったい)、折居さん(椿ヶ鼻ハイランドパーク―あそぼう大地と水と火と風と―)の3名に来ていただきました。 プレーリーダーの方々が場を作っていく様子や、子どもたちへの声かけの方法を間近に見て感じたこと。 ・会場の準備はその場に来ている子どもたちと一緒にやるくらいの気軽さが必要 肩に力を入れて完璧に準備しなくても大丈夫。 その場その場で臨機応変に。準備も楽しむくらいでいい。 (結局木切れは準備したけど使わなかった) ・子どもと一緒になって楽しむことができる心を持つこと 子どもが最初の一歩を踏み出せないでいるとき、自分がやってみて楽しさを伝える。 それは決して「これをしなさい。」ではなく「こんなふうにしたらおもしろいよね。」という姿勢。 ・プレーパーク全体の遊びの様子を常に見て、適切な働きかけ(指示ではない)をするプレーリーダーの存在は子どもの遊びを深めたり、場の規律を守ったり、子ども同士の関係性をつくる大事な役目をはたしている。 |
・道具類がある程度そろっているので、新たに購入しなくてもよかった ・子ども会指導者連絡協議会との連携ができた ・充実した広報活動ができた 小中学校を通じてチラシを対象の子ども全員に配布 公民館だよりにて告知、報告記事を掲載することで、広く地域に知らせることができた ・飯塚市が管理する広場の使用(水道の利用も含めて)が容易にできた |
・「自分の責任で自由にあそぶ」プレーパークの楽しさを子どもも大人も体感し、共有した。 ・インリーダーの子ども達が学んだ成果を発揮し、地域で活躍する場作りができた。 ・参加した親や子ども会指導者が、自分子どもだけではなく、その場にいる子どもたちみんなのために参加し、声かけをしながら子どもの活動を支えてくれたことは、地域ぐるみで子育てをするために大切な人の輪を広げる一助になった。 ・今回は初めての試みということで、プレーリーダー3名の力を大いに借りて開催したプレーパークだったが、体験したことで「プレーパークってどんなもの?どんな意義がある?」ということが、公民館のスタッフ、子どもたち、保護者、子ども会指導者に共通理解ができた。今後は、子ども会指導者連絡協議会や単位子ども会、公民館を中心として、もっと子どもたちに身近な地域で、自主的、日常的に子どもの遊びを支え、広げてていくための場作り、人作りをすすめることが課題である。 |
(飯塚市教育委員会 頴田公民館 地域活動指導員 木ノ原元美) |